しぼりたてチャイナ

何かとディープな中国の知られざる魅力を、無限に生しぼりしていくブログです

中国・貴州省の山奥の村で、侗族のおじいさんの家に泊めてもらった 中国大陸版【田舎に泊まろう】⑤ 糞便人類学

 

今年の4月に貴州省の山奥の村、帰林村というところに突然押しいって行って、とあるおじいさんに泊めてもらった話です。

 

今回が最終回になります。

 

話が途中からちょっと汚くなりますが悪しからず。

 

 

 

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泊めてもらった侗族の伝統家屋

 

寝る前にすること


さて、豪華な晩ご飯を食べ終えて、ビールをお腹に流し込み、孫とひととおりブロック遊びを終えると、少し眠くなってきました。

 

「じゃあそろそろ休みます」と伝えると、

 

「寝る準備しないとね、ちょっと待ってて」と、おばあちゃん。

 

しばらくすると、おばあちゃんはお湯を張った大きめの洗面器を、私とおじいさんの2人分持ってきてくれました。

 

そして白いタオルを渡されます。

 

・・・。

 

いったい何をしろというのでしょうか。

 

 

 

足を洗うのかな、と思いながらおじいさんを横目で見ていると、タオルをお湯に浸し始めました。そして絞って、顔を拭き始めました。

 

なるほど、まずは顔を拭くのか。私もおじいさんにならってタオルを濡らし、顔を拭き始めます。

 

顔を拭いたあとは、お湯の中に足を突っ込んで足を洗い始めました。やっぱり。

 

寝る前に足を洗う習慣。お湯で足を洗ったあとにベットに入ると、不思議と気持ちよく眠ることができるものです。

 

以前泊めてもらった重慶雲南の家庭でも同じようなことをしていました。貴州も重慶雲南も、全て同じ四川文化圏に属する地域なので、何か共通点があるのかもしれません。

 

 

 

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こちらが使わせていただいたお部屋とベット。

 

家の外見は木造の伝統家屋ですが、ベットは普通です。中国式の、ちょっと硬めのベットでした。

 

 

貴州人の糞尿

 

トイレに行きたくなったのでおじいさんにどこにあるのか聞いてみると、外の小屋にあるよ、と言って懐中電灯を渡してくれました。

 

家を出ると、玄関の向こうのほうに木の小屋が浮かび上がっているのが見えました。

 

中へ入ると、3枚の木の板が渡してあります。

 

真ん中の板をずらすと、大きな桶に溜まった糞尿が顔を現します。ものすごい量です。

 

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板のすぐ真下になみなみと溜まっている


いったいここまでためるのにどのくらいかかるんでしょうか。

 

桶がいっぱいになったらどうするんでしょう。畑の肥やしにするんでしょうか?

 

今になって考えるとあれもこれも聞いておけばよかったと後悔することばかり。

 

 

よく見ると糞尿がざわざわと動いています。

 

米粒を一椀分ばらまいたかのような大量のウジ虫が、黄色い半液体のプールの上を縦横無尽に這い回っています。私のモノが落とされると、新鮮なエサを求めて一直線に向かってくるウジたち。

 

そんなウジ虫たちを観察していると、あるものが見えてきました。

 

それは、ウジ虫よりも大量の「唐辛子の種」です。

 

さすがは辛いもの好きな貴州人だけあって、普段から相当な量を食べていることが見てとれます。

 

なるほど。唐辛子の種って消化されずに出てくるんですね。こうして種を各地にばらまいて種として繁栄していくのでしょう。その意味からいうと、はるか南米大陸からここまでやってきた唐辛子的には、これは大成功ですね。

 

 

人の糞便を研究すると、民族の飲食文化など、いろいろなことが判明しそうです。

 

まあ、何を食べているのか直接食事を見るほうが手っ取り早いですが。

 

 

中国ではよく、公共トイレなどで前の人が残していったやたらに大きくて立派な「モノ」を見ることがよくあります。「量」や「色」、「臭い」なども地域によって差があったりするんでしょうか。

 

まあ、食べるものが違えば当然出てくる内容も違ってくるでしょうが。

 

 

なんだこれは

 

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2日目の朝を迎え、朝ごはんを食べるところです。

 

わたしは初め、これは昨日の残りのご飯にお湯をかけているのだと思っていました。お茶漬けみたいにして食べるのかなと。

 

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・・・ん?

 

 

なんと、これはポンポン菓子ではないか!

 

 

ポンポン菓子に砂糖をのっけて、お湯をかけて朝ごはんにしているのでした。

 

聞いてみると、最近これを食べ始めたとかではなく、朝ごはんは前からこうやって食べてるよー、とのこと。

 

 

「おかわりあるからたくさん食べてね」とおばあちゃんが言ってくれました。

 

ポンポン菓子のおかわり!

 

 

 

お別れ

 

「そろそろ帰ります。ありがとうございました」

 

「おお、帰るか、気をつけてね」

 


来るのも去るのもあんまりにも気軽すぎて、拍子抜けしてしまうほどです。

 

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この小さいながらも驚くほどインターナショナルな村での一晩の滞在。おじいさんの好意のおかげでたくさんの発見がありました。

 

わたしは別に研究者ではありませんが、こういう発見を重ねていくことで、なんだか何か新しいものが見えてきそうな感じがします。

 

 

おじいさんの家を出て数歩歩いたところで、泥沼に両足を突っ込んでしまいました。亜熱帯特有の、キメの細かい粘土質の鮮やかなオレンジ色の泥が靴下にまで染み込んできました。

 

こうしてわたしは次の目的地へ向かうのでした。

 

貴州の南に位置する、カルストたけのこ帝国へと。

 

 

おまけ

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道端で見つけた古そうな湧き水。文字が刻まれていて、線香も添えられている。

 

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タラの木。

 

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大きなヤスデ。左側のドロドロはわたしの靴。

 

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清明節は家族で墓参りをして祖先を祭る。