1979年から始まった中国の一人っ子政策。
2016年に廃止されるまでの37年間にわたって、急増する中国の人口を抑制するために導入されました。
にもかかわらず、政策が導入されたあとも中国の人口は増え続けているんです。
不思議ですね。
よく日本では、戸籍登録されない「黒孩子」が中国にはたくさんいるからだろう、と言われます。確かにそれもあるかもしれませんが、理由はもっと単純なんです。
まずは中国の年別出生率を見てみましょう。
政策が導入されたはずの1979年、80年から、出生率はむしろ急増しているのがわかります。
その後だんだんと落ち着きはじめ、2004年ころからはそれ以上減らなくなっています。底を打ったのでしょうか。
そして2人目が解禁された2016年には若干の増加が見られたものの、翌年からまた急激に減少しはじめています。
人口増加率のグラフを見ても、だいたい同じような動きをしています。
つまり、一人っ子政策を導入した当時はむしろ人口が増えていた、ということ。
そして、二人目を解禁した今となっては、出生率は減るいっぽうだということ。
どうしてなんでしょうか?
出生率が減る理由として1番に考えられるのが、中国が急速に発展して、先進国の仲間入りをしたということ。
日々の暮らしに困ることが少ない先進国では、個人のQOLを求めるために出生率が下がりがちになります。中国でも特に「90後」と呼ばれる90年代生まれの世代は、日本の今の20代とほとんど変わりない価値観を持っているので、自分の時間を犠牲にしてまで子育てしたくないようという若者が多くなっています。
今はみんなが大学にいく時代になりましたから、2人分の養育費、教育費もバカにならないものがあります。
一人っ子政策の導入直後も人口が増えた理由として考えられるのが、みんな普通に2人目の子供を産んでいたから。まあ当たり前なんですが。
一人っ子政策が施行されたあと、どうしても2人目が欲しくなってしまったとき、中国のお父さんお母さんはどうしたのか?
産むんです。
こっそりとではなくて、堂々と。
そして政府に少々の罰金を支払います。
それだけのことなんです。(一人っ子の補償金がもらえなくなりますが、いうても微々たる金額です)
なので、じつは中国には二人兄弟の家庭がけっこうたくさんあります。
わたしの特に仲のいい3人の友人はみんな兄弟姉妹がいます。
さらに去年の春節で泊めてもらった家庭も二人姉弟でしたし、冬に食事をご馳走になったおたくも二人兄弟。
ちゃんと数えたらもっとたくさんいると思います。
仲のいい友人のお母さんに聞いたら、はじめに男の子が生まれて、今度は女の子が欲しかったから産むことにしたけど、また男の子だった、と言って笑っていました。
地元の政府に行って何回か贈り物をすることで、罰金を最小限に抑えたんだそうです。なんだか中国らしいですね。
兄弟姉妹がいる代わりに、それぞれ年齢が離れているのが特徴です。仲のいい3人は、22歳と11歳、20歳と15歳、28歳と20歳。この歳の差は、産もうかどうか悩んでいた期間なんでしょうか。
あんまり中国の情報って入ってこないから誤解しがちですよね。
次回の記事では、日本で以外と知られていない中国のびっくりすることについてまとめてみたいと思います。