みなさんは「中国の宗教」といえば、何が思い浮かびますか?
やっぱり道教や仏教がいちばん最初に出てきますよね。
前回の記事でも書きましたが、中国ではじつはキリスト教やイスラム教などもけっこう普及しているんです。
とくに中国東南部の沿岸地域では、田舎の方でも村にひとつは教会があるほど。
ハルビンや天津、寧波や福州や広州などでは、荘厳な教会が街のランドマーク的な存在にまでなっています。
私は宗教に勧誘されやすいという体質もあるのか、中国に滞在したこの数年間で、何回もキリスト教に触れる機会がありました。
今回は、その中でも印象的だったものを少しまとめてみました。
1、困ったらいつでもおいで
大学の学食でひとりで昼食を食べていたときのこと。
ふたりの知らない学生が私のところに寄ってきました。「一緒にご飯食べてもいい?」と言われたので、同意して、しばらくおしゃべりをしました。
ふたりはどうやら大学の近くに部屋を借りているらしく、日を改めて食事をご馳走してもらうことになりました。
約束の当日、寮の入り口まで電動バイクで迎えに来てもらって、そのまま大学の近くにある集合住宅の一室に連れて行かれました。
そこではアツアツの「葱油饼」と「京酱肉丝」を振る舞ってもらいました。中国版の手巻き寿司的な京酱肉丝を初めて食べたのがこのときでした。
もうだいぶ前の話なのであまり詳しくは覚えていないのですが、話を聞くと実は彼らは学生ではなくて、教会に所属してここを拠点に活動しているクリスチャンだったとのこと。留学はいろいろ大変だろうし、これから先、何か困ったことがあったらいつでも連絡してきていいし、ここに遊びに来てもいいよ、と言ってくれました。頼もしいですね。
それっきり往来は途絶えてしまいましたが、2人ともいまでも私のウィーチャットのタイムラインにいいねを押してくれます。
2、家族みんながクリスチャン その一
私は中国で特に仲のいい友人が3人いるのですが、そのうちJくんとお嬢の家族は全員がキリストを信仰しています。
本人に聞かないと、というか家に遊びに行くまで知りませんでした笑
それくらい、取り立てて特別なことでもないみたいですね。
福建省のJくんの田舎では2週間ほど彼の家に滞在させてもらいました。一緒に生活をしていても、べつだん変わったことはなかったのですが。
ある日のこと、Jくんのお母さんに聞きたいことができたので、Jくんと一緒に家の付近を探しまわりました。どうしてもお母さんが見つからないので、どうしようかと思っていると、Jくんがふとひらめきました。「そうか、今日は日曜日だから、きっと教会にミサに行ってるんだよ」。
村が小さいので、教会までは歩いて5分で到着します。
カトリックの教会がひとつと、その向かいにプロテスタントの教会ひとつが、黄色い土壁の民家に埋もれるようにして建っています。
中に入ると、いました。前のほうに座って、こちらに手をふっています。
ちょうど牧師さんが村人たちに説教をしていたところでした。しかも方言です。なので何を言っているのかわかりませんでした。こうして見るとけっこう人が入っていますね。
聞けば、Jくんはもうしばらくミサに行っていないけれど、お母さんは時間があるときに行けたら行く、そんな気軽なスタンスだそうです。
このあとはみんなで聖歌を歌っていました。
それからもうひとつ興味深かったのが、Jくんのお姉さんの結婚式です。Jくんのお姉さんは昨年、非クリスチャンの男性と結婚しました。そのさい、現地の習慣にならって新郎側の年長者と祖先に対して礼拝を捧げなければいけないのですが、そこでちょっと揉めてしまったみたいです。
なぜなら、クリスチャンは神以外を崇めることはできないからです。
おかげさまでお互いの家族がカンカンに怒ってしまったようです。最終的にどうやって折り合いをつけたんでしょうか。
3、家族みんながクリスチャン その二
浙江省にあるお嬢の一家もクリスチャンです。去年遊びに行ったときに夕食に混ぜてもらったのですが、とつぜん全員が立ち上がって食前の祈りが始まったのでびっくりしてしまいました。
横を見るとお嬢だけが立ち上がっていなかったので、私も座ったままでいました。
お嬢いわく、小さいころは毎週のようにミサに連れて行かれたり、聖書の読み聞かせを聞いたりして育ったので、しっかりと信じていたのですが、大人になってからは世界観が変わり、どうしてもキリスト教を受け入れられなくなったということです。
日曜日になると家族は朝早くからミサに出かけてしまうため、よく自宅でひとり取り残されています。(「あー、朝ごはん用意しておいてくれてない!」というウィーチャットを送ってくる)
お嬢の家族やいとこたちと車に乗っていると、「神はいいことをする人をちゃんと見ている。すごいよ」「ほんとそうだよね」みたいな会話が交わされているのがとても新鮮でした。
4、中央政府に強制閉鎖させられた教会
さて、次はお嬢のいとこのお話です。大学を出た彼女は、成都のとある教会で聖職者として本格的に働き始めました。
その教会は政府に公式な申請をしていない半地下組織で、ちょっと反政府的なことも教えていたようです。2018年の秋になって、とうとう中央政府に強制閉鎖させられてしまいました。これは日本でも少しニュースになりました。
そのさい、彼女は警察に取り調べを受けたそうで、彼女のスマホも取り上げられてしまいました。スマホが返ってきたときには、あったはずのいくつかのアプリが削除されてしまっていたそうです。
そして四川省から浙江省まで、飛行機で送還されて帰りました。何人か警官のお伴がついていたようで、「VIP気分だぜ!」みたいなことを言っていました。
近年は、イスラム教やチベット仏教にかかわらず、キリスト教でもこうした弾圧が頻発しているようです。
5、イエスの話をしよう
ある暑い夏の日、鈍行列車に乗って12時間くらいの行程を楽しんでいると、近くに座っていた体格のいいお兄さん(とおじさんの間くらいの人)が急に話しかけてきました。
「どこまで行くの?友だちになろうよ」そう言って、笑顔でゴツゴツの手を差し伸べてきました。
誰かとすごく話をしたがっているように見えたので、しばらく話を聞いてみると、お兄さん、止まらなくなってしまいました。2時間くらいはずっとウンウン話を聞いていたかと思います。
宇宙の話や中国の歴史上の人物の話、そこから神の話になったり、お兄さんの身の上話になったり、そしてまたイエスの話になったりします。
これまでお兄さんは、いい人になろうと努めてきたけれど、そのおかげで損をすることが多い人生だったといいました。村でただひとりのクリスチャンなので、村人からは変人に見られていたとも。
これから新しい街、アモイに出稼ぎに出て心機一転、新しい仕事に挑戦したいんだそうです。
「聖書は読んだことはあるか?一度は読まなきゃダメだよ!」
その後、何かアモイの仕事を紹介してほしいと言われてしまいました。私は学生だし、外国人だし、地元の人と仕事を紹介してもらうほどのつながりもないので、とりあえずということで、アモイで一番古い教会を紹介しておきました。
以上になります!
もしここまで読んでいただいた方がいたらありがとうございます!
もしもいつか中国に行くことがあれば、教会探してみてくださいね!
とくに福建省の泉州から福州にかけてと、浙江省の温州の付近では、高速鉄道から教会が山ほど見えるので楽しいですよ。