中華料理のメニュー解読第2弾です!
前回記事:
本日解読するメニューはこちら。
どどん
前回紹介したアモイ市にある小さなお店、「沙县小吃」屋さんのメニューの続きを解読していきます。
「小吃類」「炖罐類」「主食類」の3つに分けられていますね。
ただの文字の羅列に見えますが、今回も深〜い深〜い中国文化が隠されているような気がします。さっそくひとつ目の「小吃類」から見ていきましょう。
小吃類
「小吃类」とは、今や世界展開を続ける「沙县小吃」のもっとも基本となる標準メニューになっています。
どれも小さめのお皿に並べられて出てくるので、2皿で一人前くらいが目安です。
地元ではよく「麺」+「扁食」みたいな感じで食べられています。
蒸饺・・・読んで字のごとく、蒸し餃子です。小さめの餃子が、5〜6個出てくるものと思われます。
扁食・・・簡単に言ってしまえば日本語でいうところのワンタンです。「扁食」とは福建省南部の呼び方で、福建省北部では「扁肉」、中国北方では「馄饨」、広東省では「云吞」、四川省では「抄手」、湖北省では「包面」など、中国各地で少しずつ作り方の違うものが存在しています。どこでも薄い皮で肉を包んだものという本質は同じなので、いかに中国人に愛されている食べ物なのかがわかります。
拌面・・・まぜ麺です。こちらも沙县小吃の標準装備のひとつ。平麺が小皿に盛られて出てきます。「猪油」(塩ラード)、「酱油」、「芝麻酱」、「花生酱」(落花生)などのタレを選べるお店もあります。ここのお店では「花生酱」がデフォルトです。小腹が空いた時にちょうど良いので、私は週3くらいで食べていました。
拌青菜・・・炒めた青菜を塩などで和えたものでしょうか。ビールや白酒など、お酒を飲みたい人がよく注文しているのを見かけます。
酸菜面(粉)・・・酸菜がのったスープ付きの麺です。中国東北地方にも「酸菜」がありますが、あちらは白菜を酸っぱく漬けたもの。このあたりで言う「酸菜」はどちらかというと高菜みたいな感じです。値段からもわかるように量は少ないので(おそらく0.7人前くらいでしょうか)一回でいろいろなメニューを楽しむことができます。
青菜面(粉)・・・青菜がのった麺です。(粉)とあるのは、小麦麺を米粉麺に変更可能という意味です。中国では米粉麺のことを全て「粉」と呼びます。中国南部では各地に物凄い数のご当地「粉」が分布しています。今度記事にしてまとめてみましょう。
扁食面(粉)・・・扁食がのった麺です。ワンタン麺的な。でも小さいです。
水饺・・・水餃子です。
脱骨肉面(粉)・・・前回も出てきた「脱骨肉」です。あばら骨まわりのお肉をこそいだものです。他の場所ではあまりこういう言い方はしないですね。福建省東部のお店では「羅漢肉」というお肉が麺に追加されますが、同じものを指しているのかもしれません。
榨菜肉丝面(粉)・・・ザーサイとロウスー(豚肉の細切り)がのった麺です。
脱骨肉汤・・・「脱骨肉」のスープ。
牛腩面・・・牛腩とは牛すじのこと。香港へいくとあちこちで目にしますね。おそらく広東省起源の食べ方です。
猪心面・・・豚の心臓です。
排骨面・・・骨付き豚肉がのった麺。
猪肚面・・・「肚」とは「腹」の意味です。豚モツが入った麺ですね。
炸饺・・・「炸」とは油で揚げること。揚げ餃子です。お気づきになったかもしれませんが、そうです、焼き餃子だけないのです。福建省のあたりでは全然ポピュラーではないんですね。
茶叶蛋・・・お茶の葉っぱとお醤油で煮込んだ、中国版の味つき卵です。全国各地に普及している食べ方で、台湾でも有名みたいです。
煎蛋・・・卵を目玉焼きのように焼いたものです。黄身は崩します。お好みで麺類にのっけてもらいましょう。
炖罐類
沙县小吃とは、福建省中北部にある沙県という街の付近から、福建省の省会がある福州にかけて、閩江流域で親しまれている食事です。
沙县小吃のなかでもとくに特色のあるメニューがこの「炖罐」なのではないでしょうか。
福建人は中国一スープを愛する人々です。米はなくてもいいがスープがなくては食事にならないと言い張る友人までいます。
作り方も非常に凝っていて、(おそらく漢方の理論にのっとって)木の根っこやら各種薬草を組み合わせてありとあらゆるスープを作り上げていきます。
ここのお店では6種類しかないようですが、多いお店では20種類近く置いてあるところも。
「炖」とは煮込むこと、「罐」とは写真のような容器や、かめのことを言います。
枸杞猪心汤・・・クコに豚の心臓を合わせたスープです。
苦笋小肠汤・・・根曲がり竹のような細いたけのこに、腸を合わせたスープです。
莲子猪肚汤・・・ハスの実に豚モツを合わせたもの。
海带排骨汤・・・昆布と骨付き豚肉のスープ。
茶菇老鸭汤・・・茶菇とはきのこの一種。「菇」とはきのこのことです。鴨肉も合わせて。
花旗参乌鸡汤・・・なんだこれは!「花旗参」がわからないので調べてみると、日本語では「アメリカニンジン」とか「広東ニンジン」とか呼ばれている薬用の根っこだそうです。乌鸡はウコッケイのこと。骨も肉も真っ黒なのでびっくりしてしまいます。
主食
最後の主食類までやってきました。
量を増やして欲しいときは追加で3元かかるようです。
蛋炒泡面・・・卵とインスタント麺を炒めたもの。これは絶対にうまい。
蛋炒面・・・卵と普通の麺を炒めたもの。これもうまいはず。
蛋炒饭・・・卵チャーハン。
蛋炒米粉・・・先ほど出てきた「粉」を卵と炒めたもの。「粉」は各地で作り方が違うので、単純に「ビーフン」と訳すことはできません。
蛋炒白果・・・浙江省寧波人が愛してやまない「年糕」を福建省では「白果」と呼びます。これを卵と炒めたもの。韓国ではトッポギと呼ばれます。餅米を一度粉末にしてから整形するため、日本のもちとは作り方が少し違います。メニューにはよく書いてあるものの、福建省ではあまりメジャーな食べ物ではありません。
蛋炒粿条・・・ビロビロの半透明な平たい米の麺です。歯応えとつるつるしたのどごしがたまりません。元々は広東省東部の潮州一帯で食べられていた麺なのですが、実はこれ、タイで有名なあの「パッタイ」と同じ麺なんです。タイは人口の1割以上が華僑で、そのほとんどが潮州一帯から渡っていった人たちだと言われています。「粿条」を中国語で読むと「guo tiao」、タイ語ではパッタイの麺を「グイティオ」みたいに呼ぶらしいです。そのまんまですね!
以上、沙县小吃のメニュー解読コンプリート!!