しぼりたてチャイナ

何かとディープな中国の知られざる魅力を、無限に生しぼりしていくブログです

中国最北端の村を目指して 3  中国東北料理「地三鮮」

 

 

前回の記事:

中国最北端の村をめざして 2 寒すぎて列車の窓ガラスが… - 限りなく原汁に近いチャイナ

 

ハルビンに到着した。

 

ここでもマイナス18度くらいなので充分寒いのだが、ハルビンはまだまだ北端にはほど遠い。ここからさらに鉄道に乗って北上して、最終的には同じ黒竜江省の漠河をめざさなくてはならない。

 

ハルビンといえば冬場の巨大な氷のテーマパーク、「氷雪大世界」などが日本では有名で、「極寒の都市」「中国の北の果て」というイメージが強いかもしれない。

f:id:xccg:20200221023043p:plain


でも地図を見てみると、ハルビンよりも北にはまだまだ広大な土地が広がっているのがよくわかる。

 

それぞれ日本の都市と対応させてみると、北京は函館市と同じくらいで、ハルビンは稚内市と同じくらいの緯度に位置している。

 

そして今回めざしている中国最北端の街、漠河はというと・・・、

 

南北にビロンと伸びた樺太の、最北端あたりと同じくらいの緯度になる。

 

どんだけ北やねん。

 

ハルビンからは鉄道に乗って1200キロ、15時間くらいの距離になる。 

 

 

さて、ハルビンの乗り換えで少し時間があったので、駅前で腹ごしらえをする。

 

一部えげつないくらいに凍結した道路を右往左往と歩きまわって、飯屋を探す。

 

外から見てお店の入り口がわかりづらいのが、ハルビンのような極寒都市の特徴である。パッと見てもお店が空いてるか閉まっているかわからない。というよりむしろ閉店しているようにすら見えるのだが、よく見るとしっかり営業している。

 

そりゃあそうだ。こんなに寒いんだもの。分厚い布や二重とびらで入り口を覆っておかないと冷気が入ってきてしまう。

 

f:id:xccg:20200223010006p:plain


さて、やっぱりというかなんというか、頼んでしまったドンベイ(東北)名物の「地三鮮」。

 

・人気 

いまやドンベイ料理屋は中国全土でモウレツに店舗展開しているが、この「地三鮮」に関しては、ドンベイ専門店でなくてもどこでも食べることのできるくらい、人びとのあいだに普及している料理である。

 

私も学食へ行って周3くらいでこれを食べている。私の学校では、「あなたの好きな学食料理」の投票でもトップ10入りを果たすくらい人気の料理なのだ。

 

私は常々、日本の中華料理屋さんでもこれが流行らないかなと思っているのだけれど、保守的な日本の中華料理観からしたら、「地三鮮」はあまり中華っぽくないのかもしれない。

 

・食材

使われる食材は三種類だけ。ジャガイモ、ナス、ピーマン。

 

これを片栗粉のとろみを加えながら強火で炒めるだけ。

 

このシンプルな野菜だけでメシが進むってのが、とても良い。

 

注目するべきは、三つともすべてアメリカ大陸原産の新しい野菜だということ。

 

・料理名

個人的にはこの料理名も大好き。「地三鮮」の語感を日本語に直すと、「大地の恵み三種類」みたいな感じになるのかな。

 

ゴロンゴロンと切った大地の恵みをいただきましょう、ということである。

 

・分量

 そしてこの分量にも注目していただきたい。

 

メガ盛りなのである。

 

おそらくお茶碗2杯ぶんくらいのご飯が盛られている。これも中国北方料理の特徴だ。

 

もしも同じ料理を中国南方の広東省や福建省で注文したら、これの3分の2から2分の1程度の量しか出てこない。

 

中国北方で食事をするときは、あんまり調子にのって注文しすぎないようにするのが大切だ。

 

・味

ひと口食べて、?となった。知っている味付けと全然ちがう・・・。

 

南方の「地三鮮」は砂糖を入れて甘めに味付けがされるのだけど、それに比べると少し味が薄いように感じた。シンプルに醤油だけの味付けで、野菜にほんのりと焦げめがついている。

 

ご飯と合わせるには薄く感じたので、思わずお酢や唐辛子や醤油を追加してしまった。 

 

f:id:xccg:20200223010439p:plain

 

そして数年ぶりに北方の暖房「暖気」とご対面。なつかしい!

 

この白いカタマリがどれだけ中国北方の冬を快適なものにしているかについては、以前の記事で紹介したことがあります:

中国北部の暖房事情 氷点下の暖かい冬 - 限りなく原汁に近いチャイナ

 

f:id:xccg:20200223015844p:plain

さて、腹ごしらえをすませて、ハルビン駅に到着!

 

1年前に駅舎の改修を終えたばかりらしく、とっても清潔感のあふれるステキな構内。

f:id:xccg:20200223015847p:plain

やっぱり中国は建築を見るのが楽しい。

 

実は中国、古い建築はあまり多くないのだけれど、最新の建築なら山ほどある。

ぶっ壊して、また立て直すのが得意なんだね。

 

そしてハルビン駅といえば、1909年に伊藤博文が安重根に暗殺された場所として有名。むかしむかしの日本史の授業で習ったことがあるはず。

 

地図上では駅前に安重根記念館があるよと表示されていたのだけれど、あまり時間がなかったので見つけられなかった。

 

f:id:xccg:20200223020713p:plain

漠河行きの列車内。

 

ほとんど人がいないので、ほぼ貸切状態。

 

ひとりで10席くらい占領できた笑

 

f:id:xccg:20200223020604p:plain

窓わくに霜が付いているのがもはや標準装備らしい。 

 

ここからまた一晩列車に揺られてゆく。翌日のお昼にいよいよ中国最北端の街、漠河へ

 

f:id:xccg:20200223020929p:plain

発車して1時間くらいたつと、窓がバキバキと本格的に凍結し始めた。

 

車内は暖房が効いているからポカポカ暖かいので、外がどれくらい寒いのか全然わからない。

 

スマホで気温を見ると、マイナス30度近くまで下がっている。

 

今回持ってきたのは、南国の福建省でふだん着ている防寒着だけ。明日から大丈夫なの!?

 

続く

 

次の記事:

中国最北端の村をめざして 4 極寒の屋外市場がもはや衛生不衛生とかいうレベルじゃない - 限りなく原汁に近いチャイナ