一箇所、また一箇所と飛び火していく新型コロナウイルスによる肺炎。
私もちょうど3日前に上海から帰国してきたところですが、あれよあれよと言う間に事態が拡大していくので少し驚いています。
1月23日の21時に発表された最新の情報では、
確定 637人
疑わしいもの 393人
退院 30人
死亡 17人
となっています。
そのうち、確定された病例は前日の発表からは66人の増加。
死亡者については増加なしでした。
ここ数日は死亡者数も患者数も急増していましたから、この1日は少し和らいだようにも見えます。
まあ、現時点で発表されている数字を見ればの話ですが。
というのも、武漢に住んでいたというだけ、もしくは武漢に行ったことがあるというだけで感染してしまった人がいることを含めて考えると、大都市武漢ではもっと多くの感染者がいるような気もするからです。
ウイルスの潜伏期間も7〜14日と少し長いようですし、これからもどんどんと患者が出てくるのではないかと思います。
今回は、この新型コロナウイルス肺炎について、日本ではあまり報道されていない情報を中心にまとめてみました。
春節休みはとっくに始まっている
昨日(23日)自宅でテレビのニュースを見ていてよく耳にしたのが、「明日24日から始まる春節の大型連休に備えて・・・」というフレーズ。
明日からの中国の大型連休に備えてどう対策をとっていくか、というニュースです。
確かに、中国の法律で定められた公式の休日は、24日から30日までの7日間なのですが、、、
一般的に言って、中国の会社や学校では公式の休日よりも前に休み期間に入ります。
会社であれば、新年(今年は25日)の3日前や7日前、早い人は数週間前から休みに入ります。休みに入るのが遅いと思った人は自分で早めに休みを申請して、とっとと田舎に帰ったり、旅行などに出かけたりします。
新年の前日まで働かされるのはちょっときついと言ったところでしょうか。そういうのはよっぽど忙しい企業だと思います。
また、中国一大学生が多い都市として知られている武漢では、大量の大学生もまたそれぞれの田舎に帰省することになります。中国の普通の大学であれば、今年は1月の第2週の週末、1月11日から春節休みに入りました。春節のちょうど2週間前ですね。
のべ30億人が移動すると言われる春節の中国人大移動。各地へ向かう列車や飛行機のチケットが買いにくくなってくるのもこの頃からです。
特に、大学が休みに入り始める数日間と、春節の1週間前あたりのチケットについては、直前になってしまうとほとんど購入不可能になってしまいます。
そして春節の1日前や春節当日になると飛行機の値段はむしろ下がり、列車のチケットも買いやすくなります。
つまり、現在1月24日の時点では、春節大移動のピークはもうとっくに過ぎていると言ってもいいでしょう。
大移動ももう終わりかけの時期にこのニュースが飛び出してきたわけです。
ですので24日に休みが始まるか始まらないかは正直あまり重要なポイントではありません。
もしも全国に拡散しているなら、もうとっくに拡散しているはずです。
わたしは武漢から逃げるべきなのか、それともとどまるべきなのか?
自分の住んでいる都市で、死に至る感染症が流行し始めた。
あなたならどうするでしょうか?
その場所から逃げることを選択するのか、それともそこに残ることを決断するのか?
もしかすると、これは人間としての価値観を問われる究極的な問いなのかもしれません。
これがこの1、2日間、中国のSNSで話題になっているトピックの1つです。
ある人がこんなことを書いていました。
河南人、武漢で仕事をしている。もともとは2020年1月23日朝6時30分に友達と車で帰省する計画だった。
23日の朝5時に、友達からの電話で起こされた。10時に武漢が封鎖されるらしいから、急いで準備をして、早く出発するよ、とのことだったので、飛び起きて急いで荷物をまとめた。友達は7時に迎えに来た。
車に乗って少し冷静になると、私たち2人はいろいろなことを考えた。政府が街を封鎖する、これは思っていたよりも事が重大だった。武漢に滞在したことのある人というのは、移動する病原体なのかもしれない。自分が帰省することで、故郷や家族にウイルスをもたらしてしまうのかもしれないという考えにいたって、私たちは武漢にとどまることを決心した。
うーん・・・・。
わたしはこれを読んだ時に少し衝撃を受けてしまいました。実際に武漢に在住している当事者たちは、こんな難題に立ち向かわなくてはならないのか、と。
春節で帰省するのは自分の身の回りの人に感染を広げてしまう可能性があるし、逆に武漢に残るのも自身に危険が及ぶことになります。
離れるのか、残るのか、最終的な決断はそれぞれ個人の選択に任せられるのかもしれないですが、どちらにしろ勇気のいる決断を迫られることになります。
ちなみにコメント欄では「河南の同郷、頑張れ!」「今のうちに食べられるものを貯めておいて」「平穏に新年を迎えられるように祈る」などと数千件もの投稿が寄せられていました。
この方以外にも、多くの人々が武漢に残ることを決断しているようです。そしてまた、武漢に住んでいる人たちは武漢を離れないように、お互いに呼びかけあっています。
こっそり逃げて非難される人たち
武漢に残ることを決断して賞賛される人がいれば、 こっそり武漢から逃走して非難を浴びる人々もネット上でたくさん見かけました。
自分も感染することを恐れて武漢から逃走すること自体は、非難できることではないのかもしれません。みんな怖いのは同じですから。
ここで問題になっているのは、発熱しているにも関わらず武漢からの避難成功をSNS上で自慢する人たちの存在。
もうボロクソに叩かれています。
例えば、解熱剤を飲んで体温を下げ、武漢から上海に避難し、その挙句、ディズニーランドに遊びに行った写真をSNS上にアップしたユーザー。「もし1週間熱が下がらなければ、上海で病院に行けばいいや」だそうです。
これは笑えない・・・。
そして極めつけなのが、熱があるのにフランスのリアンへ旅行に出かけた武漢のユーザー。「出発前に微熱と咳が出てびっくりしたけど、解熱剤を飲んで体温が下がったので、出入国も順調だった。美食の街リアンに来たらやっぱりミシュランのお店に行かないとね」と行ってレストランで食べた料理の写真をアップしています。
この人に関してはたったの1日で中国全土に悪名が広まってしまいました。
その後、駐フランス中国大使館に中国国民から多数の通報が届いたため、大使館はこのユーザーに即座に連絡をいれて、すぐに病院に行くように通達をいれたそうです。中国大使館の公式ホームページから声明が出されています。
中国ではこれ以外にもいろいろと興味深い動きがあるので、また明日から更新していきたいと思います!