しぼりたてチャイナ

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香港「反逃亡犯条例200万人デモ」レポート 2019年 6月16日 ① デモの参加人数

 

おととい6月16日に香港で行われた、「逃亡犯条例」に反対するデモ。

 

デモの主催団体、「民間人権陣線」の発表によると、総参加人数は200万人、香港史上最大のデモと言われ、世界各地で大きなニュースになっています。

 

香港ではこのデモの直前1週間の間に、すでに2回の大規模なデモが行われていて、その際に市民と警察が激しく衝突したため、世界中でかなり大きく報道されていました。今回のデモではいったい何が起こってしまうんだろうと私はいてもたってもいられなくなり、実際に香港に行って、デモを初めから(ほぼ)終わりまで見てきました。

 

 

 

この記事では、私が当日香港で個人的に見たことを、翌日現地で買った新聞記事の情報と合わせながら書いていきますが、

 

このデモの背景や、大きな政治の流れなどについてはここでは解説しません。

 

あくまで16日のデモの、当日の少し詳しい状況を書いていこうと思います。

 

 

(買った新聞は『明報』という中立派の新聞(ウィキペディア情報)です。街で読んでいる人を割と見かける新聞です。)

  

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デモ前日、6月15日の立法院前

 

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同じくデモ前日の立法院の反対側の写真。翌日16日の夜にはここに写っている道路全てと、芝生広場と、周辺のいくつもの大通りが黒服を着た人々で埋め尽くされた。

 

 

6月16日、日曜午後、デモの決行

 

さて、今回のデモは、主催団体「民間人権陣線」(以下民陣)による、「みんなで黒い服を着て2時半にヴィクトリアパークに集合し、立法院(日本でいう国会議事堂にあたる)までデモ行進しよう」という呼びかけで、これだけたくさんの人が集まりました。

 

デモ前日の15日午後には、香港行政トップの林鄭月娥が、「法案の審議を無期限延期するよ」と発表したばかりでしたが、それに対して民陣は、「延期は決して撤回ではないから認められない、デモは予定通り決行する」と発表しました。

 

 

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6月16日午後2時半、続々とヴィクトリアパークに集まる人たち

 


私は当日2時半くらいにヴィクトリアパークに到着したのですが、海側の入り口から、銅羅湾の街の方から、黒服を着た人たちが次々と公園に流れ込んでくるのが見られました。

 

私は海側からバスでやってきたので知らなかったのですが、この時地下鉄は各駅でパンク状態だったようです。

 

みな思い思いのプラカードを持って来ています(実際はプラではなく紙製がほとんどなのだが呼び方がわからない)。公園で配布されている「學生沒有暴動」(学生は暴動を起こしていない)、「問責槍擊 撤回控罪」(銃撃の責任を問う、拘留を撤回しろ)カードを掲げる人が多いなか、手作りのカードや旗を持って来ている人、それから白い花を持ってきている人もたくさんいました。

 

 

2時40分、デモのスタート

 

公園内を軽く回ったあと、スタート地点から数百メートルのところにある歩道橋の上に陣取ったところで、ちょうどデモがスタートしました。

 

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左側のヴィクトリア公園から高士威道に出てデモがスタート

 

新聞によると、デモのもともとの出発予定時刻は3時だったそうですが、公園内の3つのサッカー場から早々と人が道路に溢れ出てしまったために、20分時間を早めて出発したそうです。

 

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スタートから1分後

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2分後のようす

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8分後

 

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30分後

 

全く途切れることなく、目の前を延々とデモ隊が行進していきます。

 

若い人が非常に多いですが、中年から初老にかけての人々も少なくありません。ベビーカーを押して列に加わっている家族連れの方々もいます。

 

香港へ来て自分で実際に見るまでは、デモに参加するのはほとんどが若い学生なんだろうな、などとなんとなく勝手に思い込んでいました。が、意外にも幅広い年齢層が参加しているんだな、という印象でした。ぱっと見で学生に見える人が6割から7割程度といったところでしょうか。

 

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約2時間が経過

 

画像だと音が伝わらなくて残念なのですが、列のあっちでこっちでコールが起こっています。時折誰かが声を張り上げてコールを叫ぶと、周囲にあっという間に広がって、ビルの谷間に轟音が響き上がります。数万人の一体感がすさまじいです。

 

私が聞き取れたコールは、「林鄭!下台!」「撤回!撤回!」「香港!加油!」などですが、他にもいろいろなバリエーションがありました。

 

聞き取れなかった部分については明日、香港の友人に聞いてみることにします。

 

 

デモの参加者数について

 

この日、私はこのデモの本当の規模を自分の目で確かめてみたいと考えていて、スタート付近の歩道橋に立って、デモの隊列が途切れるまでずっと見ていよう、と決心していました。それに加えて、スマホでずっと動画も撮っていました。そうすれば後で参加人数が確認できるかもしれない、と思って。

 

結果、14時半から18時半まで4時間近く粘ったのですが、

 

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初めに比べると列はだいぶ細くはなったものの、18時半になっても一向に人の果てが見える気配がなく、立ちっぱなしで腰がハジけそうだったということや、早く立法院の方へ行って見てみたいという気持ちもあって、この時点でやむなく引き上げることにしました。

 

 

さて、

 

この4時間の間にとてつもない人の数が私の目の前を通過していったわけですが、この日のデモではいったいどれくらいの人数が参加していたのでしょうか。

 

 

デモ主催者の民陣の発表では200万1人

 

とされています(「1人」の理由については後ほど解説します)。これは香港史上最大規模のデモに当たるそうです。

 

 

警察側の発表では33.8万人

 

とされていて、これは返還後の香港の警察発表史上で二番目、2003年の23条反対デモの35万人(少なくとも)に匹敵する人数だそうです。

 

 

両者の間にどうしてそんなに差がでてしまったのでしょうか?

 

 

新聞『明報』によると、警察発表の数字は「デモ計画ルート上のピーク時の人数」だそうです。

 

もともと警察が許可していたルートは、ヴィクトリアパークから立法院までのおよそ3キロの一本道だったのですが、実際にはあまりにも参加人数が多すぎたために、計画していたルートから外れて、並行して走るいくつかの通りまで人で埋め尽くされてしまいました。

 

そのため、計画ルートの大通り一本分しか計算していない警察の計算方法は、そりゃあ少ない人数になるよ、ということです。

 

民陣の発表した200万人という数字は、ヴィクトリアパークからスタートして行進していた人々に加えて、途中で待ち伏せしてデモに合流してきた人も大量にいる、ということで計算された数字だそうです。

 

ただし、本当にそんなに人がいたかどうか、それは誰にも知りえません。なぜなら途中で合流してくる人もいれば、デモの途中で店に入って休憩する人、帰ってしまう人、違う場所でデモをしていた人など、様々な状況が複雑に絡み合っているからです。

 

 

新聞を見ると、各学者が「推測」で、「少なくとも150万人」、などいろいろな数字を言っています。

 

144万、という数字を使うメディアも多いみたいですね。

 

 

私は歩道橋の上からデモをずっと眺めていて、まず100人の塊を10倍に広げて、それをさらに10倍に広げると1万人の範囲がだいたいわかるので、その感じで私なりに推測していくと、およそ120万〜150万かなと感じました。

 

 

 

外国人参加者

香港といえば世界的な観光都市、国際金融センターですが、今回のデモ、外国人はどれくらい参加していたのでしょうか。

 

これについても、もちろん正確な統計などありません。

 

しかし私が見たある日本の報道では、「香港に多く就労しているフィリピン人やインドネシア人、欧米系の外国人も多くデモに参加していた」と伝えられていたのですが、私の感じだと、実際はちょっと違うような感じがします。

 

とはいえ私もそれについて何か具体的な数字を差し出せるわけでもなく、「見た感じ」に頼るしかないのですが、私も少なくとも4時間、100万人近いデモ参加者をじっと見つめていたので、まあその程度の信頼度だと思ってください。

 

まず、フィリピン人やインドネシア人は確かに香港では非常によく見かけます。彼らは見た目や服装に特徴があるので、比較的容易にわかります。(留学先にインドネシアの友人がたくさんいるのと、マニラに3日くらい滞在したことがあるというのも判断基準の1つ。)

 

果たして彼らがデモに参加していたかというと、、、少なくとも私は1人も見かけませんでした。もちろん私が見落としてしまっている可能性や、それにフィリピンもインドネシアも多民族国家ですから、見た目でわからないという可能性ももちろんあります。しかし私が見かけたフィリピン、インドネシア人はみな歩道橋に上がって来て、群衆をバックに自撮りする女性たちばかりでした。

 

欧米系の人は確かに一定数参加していました。しかしその数も私が思っていたほど多くはなく、おおよそ1000人に1人いるか、いないかといったところでしょうか。

 

その他の外国人で、東アジア系の人が混ざっていたかどうかは見分けがつかないので全くわかりません。

 

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何人かの台湾人は「私たちも反対しているよ」とわかりやすく掲げていた

 

デモ参加者の絶対的圧倒的多数はやはり香港人だと言っていいでしょう。デモのコールは全て広東語でしたし。ああ、これは本当に、香港人による香港人のためのデモンストレーションなんだな、と少し感動しました。

 

 

さて、

 

今回の記事はここまでにして、

 

さらに詳しいデモの様子や、私が目撃した香港らしい出来事、当日夜の立法院周辺の様子などについては、また後日更新していきたいと思います。