しぼりたてチャイナ

何かとディープな中国の知られざる魅力を、無限に生しぼりしていくブログです

【独学用】中国語学習にちょうどいいオススメ番組8本

 

前回の記事では、先生や教科書に頼らない中国語の学習方法として、中国のテレビ番組を見ながら勉強する方法をおすすめしました。

 

中国では全てのテレビ番組に中国語の字幕がついているために、中国語を勉強したい外国人とってはすごく優しいんですね。もしもテレビ番組を見ていて知らない単語に出会ったら、辞書を引くよりも百度で検索する方が全然役に立つ、ということもおすすめしました。

 

 

namashibori.hatenablog.com

 

では、中国のテレビはどんな番組が面白いんでしょうか?日本人的に見ると、手放しで面白い!と思える番組もそこまで多いわけではなさそうです。(それは中国の若者にとっても同じこと)

 

せっかくテレビ番組を見るんだったら、面白くて、かつ中国の暮らしや文化や考え方などもまとめて勉強できるほうがいいに決まっています。

 

そこで今回は、実際にどんな番組を見れば面白く中国語が勉強できるのか、私の個人的な好みを元にしてオススメの番組をご紹介していきたいと思います。

 

※レベルは中級以上向けです。

  

・私が中国での1年目に見ていたオススメの3本

 

1、『金星秀』(2015〜2017年)

毒舌で知られるコンテンポラリーダンサー、金星が中国国内のあらゆるモノゴトをぶった切ってゆくトークショーです。アシスタントがところどころボケとツッコミを入れてくるので笑いも誘います。

 

金星の経歴は現代中国においては異色中の異色と言えるでしょう。ダンスの修行のためにニューヨークへ単身渡って極貧生活を送ったり、自身が少数民族朝鮮族出身であったり。また、20代で性転換手術を経て女性になっているため、男性側と女性側の両方の恋愛経験もあり、視聴者からの恋愛相談などでは的確なアドバイスを送っています。現在はドイツ人の夫と結婚して三人の養子を育てています。

 

日本と比べて価値観がまだそこまで開放的ではない現代中国において、お茶の間に広く受け入れられている「強い女性」の象徴、金星。

 

怖いもの知らずの物言いで、次々と中国社会の暗黒面を暴露してきたこの番組も、2017年に突然放送休止になってしまいました。本人によると、正直なことを言いすぎて各業界のお偉いさんの「気を悪くしてしまった」ことが原因だそうです。

 

かっこいいですね。

  

2、『今晚80后脱口秀』(2012〜2017年)

2012年から2017年まで放送されていた中国のスタンダップコメディです。

 

日本の漫才に近い中国の伝統話術である「相声」出身の王自健がメインとなって、様々な笑い話を披露していくトークショーです。80後(80年代生まれ)ということで、若い人のためのトークショウを開拓していこう、というのが番組の趣旨になっています。

 

王自健いわく、小さい頃から今も治らない「大舌头」(はっきり発音ができない音がある)がコンプレックスで、しかもうつ病を抱えながら番組に出演していたそうです。私はそれでも彼の飾らないすっとぼけたような表情が大好きでした。

 

ゲストの出身地をネタにしてツッコんだり、時事ネタでボケたり、笑いのポイントも比較的わかりやすいので、勉強用にとても適しているのではないかと思います。

 

しかし友人にこの番組について聞いてみると、「番組が始まった当初のほうが今よりも全然面白かったよ。最近はあんまり見なくなったなあ」とのこと。私も2016年から好んで見ていたのですが、2017年になると2016年よりも明らかに笑えなくなってきているのがわかりました。ネタ切れでしょうか。

 

この番組も2017年に放送休止になってしまいました。

 

3、『非诚勿扰』(2010〜)

一時期中国を席巻した伝説的なお見合い番組です。20人近い女性が、1人1人登場してくる男性とのやりとりを通して短時間で相手を見極め、カップルが成立するかどうかを見る番組です。

 

この番組の一番面白いところは様々な人間模様が観察できるところです。自信過剰な人や、恥ずかしがり屋の人、途中でキレる人、泣く人、金に目がくらむ人。中国人がどんな時にどんなお世辞を言うのか、どんな時に気まずい雰囲気になるのか、ということなども観察できます。

 

相手が見つからないと何週にも渡って番組に出続けることになるため、キャラが定着してきて、それもそれで見ていて面白いです。たまに外国人も登場します。日本人も登場したことがあります。

 

2016年くらいでしょうか、テラスハウスと同じように番組のやらせ疑惑が報道されてしまい、一気に人気が落ちてしまいました。とは言え、どこまでがやらせでどこまでがホントなのかはわからないので、やらせを差し引いて見たとしても、そこそこ楽しめると思います。

 

 

以上の3つが、私が中国へきたばかりのころ勝手に自分の教材にしていた番組です。こうして動画を見ながら勉強することは、教室でテキストを読むよりもよっぽど効率がよかったように思います。

 

番組の途中で、出てきた知らない単語を調べたり、聞き取れない部分をノートに書き起こしてみたり、会話の一部を表情や語気なども真似しながら覚え込んでみたりしました。

 

・その他の番組

 

4、『papi酱』(2015〜)

テレビではなく、ネット上のショートムービーチャンネルです。演劇学校出身のpapi酱がメインで出演しています。オーバーな演技と、あるある人物風刺がめちゃくちゃ面白いです。

 

若者へ対する影響力が評価されたのか、2016年に数億円の投資を受けましたが、それを母校に全額寄付したことで少しニュースになりました。

 

この前アップされた、11月11日の「独身の日」セールを風刺した動画は、私も思わず爆笑してしまいました。笑える、という点では今回紹介する動画の中で一番かもしれないです。

 

ただ早回しで声を早くしてあるので、聞き取りの難易度はちょっと高めかもしれません。

 

5、『酷酷的滕』

こちらも私が好きなネット上のショートムービーです。東北弁丸出しの滕くんが、悪徳商法や違法営業の業者にイタズラ電話をかけて、その会話の録音に文字をつけた動画をアップしています。

 

電話先は、例えば薬物販売や拳銃販売、マルチ商法や彼女詐欺などディープで多岐に渡ります。電話の中で滕くんはボケまくってボケまくって相手を困らせたあと、最後に強烈に批判する、というのが基本的な構成です。たまに相手役を役者が演じているパターンもありますが、それ以外は本物の電話です。

 

中国東北人のベシャリがいかに爽快で強烈か、これを見ると実感することができます。

 

6、『家友儿女』(2005〜2007)

2005年に放送されたファミリーコメディドラマです。ちょっと古めのドラマですが、私はけっこう好きです。普通に面白いです。

 

以前、友人数人で旅行へ行った時、雨で何もすることがなかった日にみんなでこのドラマを見ました。あとで知ったのですが、その時これを見たいと言い出した男の子は、家の中で両親とのやりとりがほとんどなく、このドラマのような家族に憧れて何回も見返しているんだ、ということ。

 

再婚した夫婦とそれぞれの子供たちが織り成す日常、という少々複雑な背景ですが、それぞれキャラが立っていてみんなすごくうまくやっています。中国の典型的なやんちゃ坊主や、典型的な勉強のできる子がどんな感じかも観察できます。

 

ちなみにドラマの中で使われている言葉ですが、北京味のかなり強い普通話となっております。中国の他の地域ではあまり使われないような言い回しも多少出てくるのですが、それはそれで味があっていいのではないでしょうか。強烈で生き生きとした北京の言葉の掛け合いは、聞いているだけでなんだか嬉しくなってしまいます。

 

(このブログですでに何度も書いているのですが、一応ここでも書いておきます。「中国語=北京語」ではありません。また「普通話=北京語」というのも間違っています。北京には北京の庶民言葉が存在していて、普通話を勉強しただけでは、生のままの北京語はほとんど聞き取れません。普通語は、北京語の発音を標準音として定めているだけであって、語彙や語調や言い回しの差異がかなりあります)

 

7、『文明密码』

CCTV10の科学チャンネルで細々と続いている番組です。中国人でもあまり知らない人が多いですが(というよりそもそも若者はテレビをみない)、個人的にはすごく好きです。

 

レポーターが中国各地に出かけて行って、取材をしたり体験をしてみたりする、という番組です。例えば山奥の養蜂家、カニ養殖場、高級墨の工房、筆の工房、紙の工房、モンゴル族のフェルト作り、チベット族の乳製品作り、各地に眠る独特なお祭りなど、内容は多岐に渡ります。

 

それ一本だけでドキュメンタリーが取れそうな濃ゆい文化的な題材を、短い番組の中でさらっさらっと紹介していきます。まだ全然知られていないような中国各地の面白い文化をこの番組でたくさん見ることができます。私もテレビのある部屋に住んでいた頃には、地図を片手にテレビにかじりついてこの番組を見たものです。

 

今これを書いていて思いついたのですが、番組の傾向が『鉄腕ダッシュ』に少し近いかもしれません。もしかしたら何か参考にしているところもあるのかな。

 

8、『航拍中国』

空から中国各地を撮影したドキュメンタリー番組です。毎回一つの省が紹介され、現在までに10の省、10回分が放送されています。

 

個人的に甘粛省の回を見た時にはヒザが震えました。たった一つの省の中に沙漠あり雪山あり大湿原あり大草原あり黄河もありでなんでもありと、これは絶対日本で放送するべきだろう、という圧倒的な内容。あの辺はいろいろ隠されていますよ。

 

そのほかに、 

中国各地の美食を紹介するドキュメンタリー『舌尖上的中国』という番組をオススメされることがあるかもしれませんが、ナレーションの文章が練りに練られた文語体の文章なので、学習用には少し難易度が高いかと思います。この番組、日本でもBSで放送されたことがあるみたいですね。

 

 

以上になります!ここで紹介した8つの番組も、中国で製作されている番組のほんの一部だけなので、探してみるともっと自分の興味にあった番組が見つかるかもしれませんね。

 

 

最後に、今回紹介した動画のリンクを貼っておきます。全部Youtubeで見られますよ。

 

金星秀:https://www.youtube.com/watch?v=ZrgcooFkztk

(学校でのいじめについて話す回)

今晚80后脱口秀:https://www.youtube.com/watch?v=5PMhWGCKugU

(テーマ:私まだ子供なの)

非诚勿扰:https://www.youtube.com/watch?v=QxnL885FMtc

(システムがまだわかりやすかった2015年の動画)

papi酱:https://www.youtube.com/watch?v=Mk94CtPW79k

(11月11日の風刺。さりげなく広告を入れてくるところはさすがpapi)

酷酷的滕:https://www.youtube.com/watch?v=7KPpv5HzNhA

(偽札印刷業者にイタズラ電話。吹きます。)

家有儿女:https://www.youtube.com/watch?v=PC3DmhI-3tU&t=29s

(第一回)

文明密码:https://www.youtube.com/watch?v=fFoEphNC1pA

(豆腐伝説)

航拍中国:https://www.youtube.com/watch?v=PbCmDry6X2k

甘粛省の回)