しぼりたてチャイナ

何かとディープな中国の知られざる魅力を、無限に生しぼりしていくブログです

中国西南部 カルスト大帝国の逆襲(2)中国最長の地下河川241kmとたわむれにいく

前回記事:

namashibori.hatenablog.com

 

翌日の朝、河池市のバスターミナルについた私は、100kmほど南に離れた都安瑶族自治県へ向かうチケットを購入した。

f:id:xccg:20191116020017p:plain

普通話を話しましょう」という注意書きの前で地元の方言をかたくなに押し通す、中国らしい微笑ましい光景が見られた

 

どうして都安瑶族自治県へ行くかというと、この方向へ走る高速道路がちょうどよく大ポコポコ地帯を突っ切っているからである。まずはバスの車窓からポコポコ山を堪能してみようという算段なのである。

f:id:xccg:20191116020019p:plain

なんとも美しいルート

下道を走るバスだとあまりポコポコしていない部分を通る可能性があるので、高速バスのチケットを購入した。

 

私はバスに乗車すると素早く一番前の席を分どって、スマホを構えた。

 

バスは河池市を離れて高速道路へ入る。すると、、、

 

f:id:xccg:20191116021047p:plain

f:id:xccg:20191116021051p:plain

始まった。始まってしまった!ポコポコ山だ!

 

前日列車から見た時は夕暮れ時で、しかも雨が降っていたので、この日ほどはっきりと山が見られなかった。

 

それにしてもすごい。。圧巻である。

 

f:id:xccg:20191116021110p:plain

f:id:xccg:20191116021116p:plain

ちょうどよく霞がかかっているので、遠近感が出てなおさらよい。

 

f:id:xccg:20191116021130p:plain

どちらを向いてもポコポコ、ポコポコ。

 

トンネル超えてもポコポコ、ポコポコ。

 

ずっと窓ガラスに張り付いて動画を撮っていたので、買ったばかりのスマホの容量が早くも気になり始める。でもやめられないしとまらない。思わず見とれてしまう光景である。

f:id:xccg:20191116022033p:plain

f:id:xccg:20191116022011p:plain

鍾乳洞の洞口とか、もうそこらじゅうに空いている。

こういうポコポコ山を見て、私は何がそんなにすごいと思うのか、自分なりにまとめて見ると、こうなる:

 

1、景観として美しい。

2、日本ではありえない(形成しえない)地形。その神秘感に理解が追いつかない。

3、もし日本にこのうちの一つや二つがあったとしたら、観光名所になっていてもおかしくないと思う。しかし、ここではそこらじゅうにあるので、当たり前すぎて誰も見向きしない。そこにカルスト格差を感じる。

 

まるでカルスト先進国が、カルスト後進国の小僧にその圧倒的な格の違いをまざまざと見せつけているようであり、少しももったいぶることをせずに初めから全部見せつけてくるあたり、もはや暴力的ですらある。

 

10個でも見られればお腹いっぱいになる日本人の小僧に、いきなり何千個も食わせるのである。一瞬で容量オーバーになってしまうのは明らかである。開始15分で、もうすでに一生分のポコポコ山を目に収めたような気がする。

f:id:xccg:20191116023619p:plain

f:id:xccg:20191116023623p:plain

f:id:xccg:20191116023626p:plain

ちょうど清明節の時期に行ったので、あちこちで墓参りが行われていた。中国の墓参りは先祖の墓の前で爆竹を鳴らしたり、花火をあげたりと、とっても賑やかである。

1時間ちょっとで都安瑶族自治県に到着した。中規模な街ではあるが、日本の街とは違って中国ではどこへ行っても賑やかである。

 

f:id:xccg:20191116025920p:plain

他の場所で全く見たことのないお菓子がたくさん売られていた。左奥のほうで黒くとぐろを巻いているのは「猪血糯米肠」と言う、豚の血ともち米のソーセージ。

 

f:id:xccg:20191116025927p:plain

広西へ来て初めて知ったが、外でメシを食べるところ、というともっぱら「粉」ばっかりなのである。「粉」というのは、字を見ればわかる通り、米粉で作った麺のこと。小麦の麺はそもそもメニューに存在していない。

 

広西と言ってみんな思い浮かべるのは全国的に展開している「螺狮粉」なのだが、地元に行くと、やはり地元にしかないものに出会えるのだ。

 

f:id:xccg:20191116031228p:plain

私も早速「湯粉」を一杯いただく。

 

雲南省には「米線」というやはりお米から作られた麺があるが、食感がだいぶ違うので作り方も違うのだろう。江西省にも「粉」があるが、これもちょっと食感が違う。ビーフンともまた太さが違う。麺のくたくた具合でいうと、ベトナムのフォーに近いかもしれない。同じお米から作られる麺でもいろいろな種類の麺ができるんだなぁ。

 

f:id:xccg:20191116031508p:plain

それから麺の作り方も独特だった。麺は深い鍋で茹でるのではなく、中華鍋で具材と一緒に煮ていた(「煮る」ではなくて、こういう作り方を表す専用の漢字があるものと思われる)。この後も何回か「粉」を食べる機会があったが、やはりどこでもこのように作っていた。

 

f:id:xccg:20191116025529p:plain

それからもう一つ気になったのが、食卓の上の唐辛子である。

 

私の勝手な印象では、広西はそんなに辛いものを食べる印象ではなかったのだが、この左側にいてある唐辛子「剁椒」からは、「唐辛子が好きよ」という、なんとなくそういう感じが伝わってくる。辛いものはほぼ食べない福建省でも、右側の唐辛子であればどこにでも置いてある。しかし左側の「剁椒」に関してはまず見かけることがない。よほど辛いもの好きでない限りは。

 

気になって方言区を調べてみたら、明らかになった。意外なことに、広西の北部も「西南官話」の方言区に属していたのである。「西南官話」は、貴州省四川省と同じ系統の方言である。

f:id:xccg:20191116025539p:plain

方言の分布と文化の分布は往々にして一致するので、広西北部のこの地域も四川文化の影響を受けているのだろうと思われる。すなわち辛いものもそこそこ食べる、ということだろう。

 


はあ。

毎回旅行記の中で、食事の話になるたびに旅が前に進まなくなってしまう。。。

 

ここへは何しに来たんだっけ。そう、巨大地下河川を見に来たんだった。

 

続く