しぼりたてチャイナ

何かとディープな中国の知られざる魅力を、無限に生しぼりしていくブログです

【絶対に開けてはいけない】奇跡的に2200年間も保存されている秦の始皇帝のお墓を中国が未だに発掘しない理由

 

今から約2200年前の紀元前221年、中国西部の黄土高原からやってきた秦王朝が戦国諸国を次々に合併し、数百年に及んだ春秋戦国時代に突然の終止符を打ちました。

 

「中国は統一できる」というこれまで誰も思いつかなかったことをやってのけたのが秦の始皇帝です。圧政による農民暴動などの原因によって、15年という短命で滅びてしまった秦王朝ですが、のちの中国史に与えた影響には計り知れないものがあります。

 

中華世界を統一することによって空前絶後の権力を一手に握ることになった秦の始皇帝。13才の頃(!)から始めた自分の陵墓の建設には80万人もの人夫を動員して足かけ39年を費やしたと言います。

 

始皇帝が亡くなったさいに一緒に埋蔵された大量の「兵馬俑」からもわかるとおり、その規模からいうと、始皇帝の埋葬は中国最初の皇帝にして中国最大規模の埋蔵であったことがほぼ確実であるでしょう。

 

現在でも西安の東の郊外にポツンと立っている秦の始皇帝陵ですが、実は、中国政府は未だに発掘許可を出していません。

 

どうしてなのでしょうか。

 

考古学者と盗掘家の戦い

中国は考古学大国ですから、毎年毎年各地で大遺跡が発見されます。発見される遺跡の中でも、地下深くに保存状態のよい文物が眠っている可能性のある、皇帝や国王の陵墓は特に重要で、もしも発見されるとすぐに考古学チームが駆けつけて、現場を封鎖して発掘を始めます。

 

どうしてそんなに急ぐのかというと、中国には盗掘という文化があるからです。中国の歴史上たび重なる戦乱の時代や飢饉の時代など、民衆の生活が非常に苦しい時、近くの小山を掘ったら金や銀のお宝が山ほど出てきたら、庶民にとってはたまらないですよね。生存のためです、誰が文物がどうのこうのと考える余裕があるでしょうか。

 

歴史上に限らず、現在でも盗掘は続いています。遺跡が発見されたと思ったら次の日にはもう付近の住民に盗掘されてしまった、なんてこともあるみたいです(そういう品が、現在の骨董品市場にも出回っているとか)。中国の考古学は盗掘との戦いだと言っても過言ではないでしょう。

 

西安の平原にもっこりとそびえる高さ51メートルの始皇帝陵も、ものすごく目立つわけですから、当然ながら盗掘されている可能性があります。歴史書にも盗掘されたとかされてないだとか、いろいろな記載があるようです。

 

秦の始皇帝陵を未だに掘らない理由

盗掘されているにしろ、盗掘されていないにしろ、実際に掘って確認して見るのが一番手っ取り早い方法です。何せ中国史上最大規模の皇帝陵墓ですから、どんなお宝が中に眠っているのか、考えるだけでも好奇心をそそられます。

 

しかし中国政府は現在に至るまで発掘の許可を出しておらず、これまでに地上からレーダー探査を行ったたけです。

 

なぜか。その理由は、技術が足りないからです。

 

大きなきっかけとなったのが、1956年に行われた明定陵発掘事件だったと言います。発掘当時の技術がまだ十分なレベルに達していなかったため、作業中に数多くの貴重な文物が損なわれてしまったそうです。例えば、絹製品などは空気に触れた途端に酸化して色を失ったり、カビが生えたり。低い酸素濃度やちょうどよい湿度など、絶妙な環境下で保存されてきた地下の文物ですから、とってもデリケートなんですね。

 

先ほど出てきた世界遺産の「兵馬俑」も、発掘された瞬間は鮮やかな色をまとっていたそうですが、これも外気に触れたとたんに、一瞬で酸化して色が失われてしまった結果、現在私たちが目にする灰色になってしまったといいます。

 

そんな数々の教訓を踏まえた上で、あふれ出る好奇心をぐっとこらえて、十分な発掘技術が整うまでは発掘を行わない、という決心をしたそうです。

 

それでも中に何があるのか気になる

始皇帝陵の中には少なくとも100トンの水銀が流しこまれていて、その蒸気によって中に入っただけで水銀中毒で卒倒してしまう、と言われています。陵墓の中に水銀が流し込まれていることは司馬遷の『史記』にも書かれていますし、付近の土壌の水銀値が以上に高いことからもこれはほぼ確実だそうです。

 

また、自動発射装置のついた弓矢が各場所に設置されているなどとも言われています。これも盗掘を防ぐための恐ろしい仕掛けだと思うのですが、なんだか考古学ロマンがあってグッときます。

 

ミイラ取りがミイラになるなどと言われますが、エジプトのピラミッドを掘りに行った学者が次々と不幸な目に会ったようなエピソードからもわかる通り、こうした古代の遺跡には何か尋常ではない力が働いているのかもしれません。何せ社会全体が巫術で回っていた時代の遺跡ですから、当時の人たちには我々現代人が忘れてしまった霊的なパワーが備わっていたのかもしれません。

 

早いうちに中身が知れるといいですねー。

 

ちなみに行き方ですが、兵馬俑から無料シャトルバスが出ていて、5分ほどで到着できるそうですよ。