しぼりたてチャイナ

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メガトン級の最新国際空港、北京大興国際空港がオープン アクセスはいいのか

 

9月25日に正式オープンした北京大興国際空港。

 

空港の巨大さや、1兆円に及んだ総工費、ヒトデのような奇抜なデザイン、最新の科学技術を集結した超ハイテク運営システムなどが注目されていますが、空港が北京郊外の少し離れた場所に位置しているため、アクセスはどうなんだろうと思い、いろいろ調べてみました。

 

北京中心地までの距離

まずは距離を見てみましょう。

 

これまで主に使われていた首都国際空港は、北京中心部の天安門から直線距離で25kmでした。(Google Mapで距離計測)

 

しかし、新しくオープンした北京大興国際空港は天安門から直線距離で43kmもあるため、20kmほど遠くなってしまったことになります。

 

かなり遠いように感じてしまいますが、この距離感覚を日本でイメージするとわかりやすいかもしれません。

 

例えば関西空港から大阪城までは37kmの直線距離です。

 

成田空港から皇居二重橋までに至っては56kmも離れています。

 

つまり、関空よりも少し遠いが、成田よりも近い、そんなイメージになるかと思います。

 

 

アクセス

さて、北京大興国際空港までの具体的なアクセス方法ですが、列車、地下鉄、バスなどがすでに開通しているもようです。

 

1、列車

 

これが現時点ではもっとも早い行き方でしょう。

 

現在、北京と大興空港の間ではすでに高速列車が開通していて、北京西駅からわずか30分で空港の地下まで到着できるそうです。

 

現在北京ー天津間で運行している「城際列車」と同じ型で、設計速度は時速360kmだそうです。

 

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朝の06:56から夜の21:46まで、毎日12本が運行されています。値段もお手頃ですね。

 

この鉄道路線は「京雄鉄路」といって、北京と現在首都機能の一部移転が計画されている「雄安新区」を結ぶ高速鉄道の一部であります。これが全線開通すれば空港から雄安新区までのアクセスも便利になります。

 

 

2、地下鉄

 

城際列車だけではなく、地下鉄でも新空港にいくことができます。

 

地下鉄大興空港線というのがいつの間にか開通していたようです。(9月26日開通)

 

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地下鉄1号線の天安門西駅から空港へ向かうとすると、およそ1時間程度でたどり着くことができるようです。

 

地下鉄大興空港線は現在のところ、大興空港駅、大興新区駅、草橋駅の3つの駅しか開通していません。空港から草橋駅間を時速160km、19分で運行しています。

 

地下鉄10号線に乗り換えができる草橋駅から北にかけての路線は、この年末に着工して延長していくとのことです。

 

 

 

3、バス

 

もちろん空港バスも開通しています。

 

空港から北京駅ゆき、北京南駅ゆきなど6路線がおよそ30分間隔で運行しています。値段は一律40元だそうです。

 

 

4、車

 

誰かに送ってもらう場合やタクシーに乗る場合、高速道路で直接空港まで向かうことができます。

 

天安門のあたりからだと大体40分くらいで着けるようです。

 

 

 

ついでにその他いろいろな情報についても調べてみました。

 

 

航空便

 

現在就航しているのはどうやら国内便のみのようです。

 

国慶節には述べ利用者数が10万人を突破したというニュースが流れました。開業から11日で合計989本の航空便が発着したそうです。

 

国際ハブ空港化を目指しているということですので、これからどんどん発着枠を振り分けていくのでしょう。

 

 

ダブル空港都市

 

大興国際空港の開業にともない、ついに北京も、複数空港を合わせ持つ都市となりました。中国国内では上海についで2番目となります。

 

世界の大都市では1つの都市に複数の空港があるのがスタンダードになっています。東京も大阪もそうですし、ロンドンやパリやニューヨーク、バンコクも複数の空港が同時運営されています。

 

実は北京南部には南苑空港という中国最古の空港があって、先月9月まで細々と稼働していました。

 

しかし軍民共用の空港であり規模も小さかったために、本当の意味でのダブルエアポートメトロポリタンには成りえなかったようです。

 

9月25日、大興国際空港の開業と同時に、南苑空港は1世紀に及ぶ役割を終えました。

 

 

空港設備

 

まず目を引くのは空港ターミナルビルのデザインです。

 

東京の新国立競技場をデザインして予算オーバーしてしまったあの故ザハ・ハディド氏が設計を手がけています。

 

確かになんとなく雰囲気が似ていますね。

 

 

最新技術を惜しむことなく投入した空港のハイテク設備ですが、

 

例えば、セルフ搭乗手続き、セルフ手荷物預け、チケットなし顔認識搭乗、など、自動化、セルフ化が徹底的に進められています。

 

ターミナル内ではロボットの「小兴くん」があちこち走り回っていて、旅行客の質問にいろいろ答えてくれるそうです。

 

そして最新のコンピュータがフライトスケジュールの管理、エネルギー管理、貨物のコントロール、乗客の監視、空港のあらゆるコントロールをつかさどっているといいます。

 

また地熱を利用した暖房供給や、屋根で100%回収する雨水の再利用など、環境にも優しいよ、と言います。

 

空港内には他にも映画館や

 

 

 

この国慶節の休みには新しい空港を見るためだけにやってきたお客さんが結構多かったようです。

 

10月3日には観光客と搭乗客の割合が23:1だったそうです。

 

 

大興国際空港の位置づけ

 

どうして今、新しい空港を建設する必要があったのでしょうか。

 

北京首都国際空港の利用客数は年々恐ろしいスピードで増加していて、2017年には9500万人、2018年には1億人を突破してしまいました。そして現在、アメリカのアトランタ空港に次いで世界第2位の利用客数となっています。(羽田空港ももうすぐ1億人に達する)

 

これは当初の設計である7600万人を大幅にオーバーしているのです。

 

そのため、新空港の建設は必要不可欠だったのです。

 

それではなぜ北京の南郊外というこの場所を建設地に選んだのか。

 

それは、この場所がまさに「京津冀」の中心に当たるからです。

 

習近平はこの「京津冀」の経済開発を重視していて、河北省に「雄安新区」という新しい都市を作ろうとしています。

 

地図の縮尺を小さくしてみるとよくわかりますが、空港はちょうど北京(京)、天津(津)、雄安新区(冀)を結ぶ正三角形の中心に位置しているんですね。

 

もうここしかない、という感じの立地だったのかもしれません。