合計でなんと1億人以上もいる中国の少数民族。
漢民族を除くと、全部で55の少数民族が中国各地に暮らしています。
こんなに違う!「中国人」の多様さ Vol 3 多民族国家篇 - しぼりたてチャイナ
今回はこちらの記事で書ききれなかったことを補充していきます。
こちらは中国の全ての少数民族の大まかな分布になります。
少しごちゃごちゃしていますが、なんとか見てやってください。
居住地域が比較的広範囲に及ぶウイグル族、チベット族、モンゴル族、回族の居住地域には色がついています。
少数民族が多い地域、というのが見てわかりますね。
南の方だと、
東南アジアに近い雲南省や、貴州省、それにベトナムのとなりの広西壮族自治区。
西側では、
東北部は、
それから真ん中あたりの
これらの場所で少数民族の種類が多い特に多いです。
この中でも、広西壮族自治区では、人口の 41.2 %が少数民族で、少数民族が最も多い行政区となっています。そのうち壮族が人口 1482万人と、自治区の人口の3分の1を占めていて、同自治区最大の少数民族になっています。
また、雲南省は全人口の3分の1にあたる、1433万人が少数民族で、少数民族の人口が第2位の行政区となっています。その少数民族のさらに3分の1の人口が、イ族の471万人で、こちらが雲南省最大の民族となっています。
ここからはいくつかの少数民族をピックアップして紹介していきたいと思います!
壮族
中国最大の少数民族です。人口はおよそ1700万人で、そのほとんどが中国南部の広西壮族自治区に暮らしています。
壮族にとっては旧暦の3月3日が重要なお祭りです。
名前はそのまま「3月3」と呼ばれます。
そのために、広西壮族自治区では、毎年旧暦の3月3日の前後5日間が公式な休日となっていて、中国のそのほかの地域の人たちからの羨望の的となっています。
伝統的には春の到来を告げるこの日に、若い男女が川辺やなんかで歌を歌いあったりして、結婚相手を見つけるなんてことをしていたそうです。
現在では、3月3日にちなんだイベントや催し物が開催されたり、家族で旅行に出かけたりなどと割と普通の休日としての色合いが強いみたいです。
ミャオ族やヤオ族、ドン族など、壮族の周辺のいくつかの民族も3月3日を祝います。
日本でも3月3日はひな祭りや桃の節句などを祝いますね。
回族
回族です。あまり馴染みのない方が多いかもしれません。
中国では壮族に次いで人口の多い少数民族です。中国語ではホイ族と読みます。
基本的には漢族と同じなのですが、何世代にも渡ってイスラム教を信仰してきたことから、文化習慣の違いが生まれ、漢族とは区別されています。
上の地図をご覧になるとわかる通り、全国的に広く、飛び飛びに、そして密集して暮らしています。
とくに有名な居住地は、寧夏回族自治区や、甘粛省、青海省などの、「西北部」と呼ばれる乾燥した黄土地帯です。この地域はまさにシルクロードが通っていた地域です。回族は古くから漢族と周辺少数民族との間の交易を仲介してきた民族です。
古都西安に旅行へ行ったら絶対に外せない美食街である「回民街」も、歴史的に回族が居住してきた地域です。北京の有名な美食街、「牛街」も回族の居住区ですね。こういった場所では中国のイスラム料理がたくさん食べられます。
回族の人の代表的な苗字として、「馬」(マァ)と言うのがありますが、これはマホメットのマァだそうです。
満州族
ご存知の通り、中国最後の帝国である清王朝を興した民族です。満州族は中国全土を300年近くに渡って統治しました。
現在では北京の東部から遼寧省にかけて広く居住しています。
近年は文化的にほとんど漢族と同化していて、満州語を話せる人も今は数人の老人が残っているだけだということです。
満州族は独自の言語と、独自の文字を持っていて、清の時代の公式な文書や碑文などには漢文と満州語がどちらも並列で書かれています。
北京にある「故宮」の中でも、たくさんの満州語を見ることができます。
チベット族
おなじみチベット族です。
漢語では「藏族」( Zang zu ザンズゥ) と呼びます。
チベット自治区の他にも、青海省や甘粛省、四川省、雲南省などの高原地帯にも、一定数のチベット人が居住しています。
チベットに関しては、日本語で検索してもたくさんの情報が集まると思います。
日本にはチベット研究者がたくさんいるし、チベットファンの方々も少なくありません。そして何よりも日本では情報が規制されていないので。
チベット族はチベット仏教を信仰していますが、4つないしは5つの宗派に分かれているそうです。私が甘粛省のある街で出会ったチベット族の青年は、街の別の宗派を軽蔑していて、普段は口もきかないと言っていました。
居住地域によって文化も方言も異なるみたいです。それぞれアムド、カム、ウツァンなどと大別されます。
自民族の文字、チベット文字を持っています。
高原で暮らしているためか、心肺機能が強く、中国の長距離選手はチベット人が多いです。
ウイグル族
新疆ウイグル自治区に居住する、トルコ系の民族です。
中国東部と新疆とでは非常に距離が離れていますが、中国各地、どこへ行っても彼らの開くお店を見かけることができます。
道端で煙を立てて羊の串焼きが売られていると、ついつい立ち寄って買ってしまいますね。クミンなどのスパイスの濃厚な香りがウイグル料理の特徴でしょうか。焼きたてのナンも美味しい(インドのナンに似ていて、ウイグル語でも「ナン」と呼ぶ)。ウイグル風の炊き込み御飯?「抓飯」も定期的に食べたくなってしまいます。
干しぶどうや、ナツメ、ナッツ。などもよくあちこちで売っていますね。
彼らも独自の言語と独自の文字を持っています。
ウイグルの子達みんな運動神経がとてもいいです。運動会のリレーではメンバーのうち2人がウイグル族の友達でした。また、体育の先生いわく、サッカーで他の学校とプレーするときには、ウイグル人選手が何人いるかが勝敗の決め手になることがある、そうな。
苗(ミャオ)族
「ミャオ族」というのは実は非常に大きなくくりで、ベトナム、ラオス、タイ、ミャンマーなどにも「モン族」として、ミャオ族と同系統の民族が暮らしています。
広範囲に居住しているため、同じ民族の間でも文化や言葉に差異があります。
太古の昔、ミャオ族はもともとは中国の歴史の主舞台である中原の辺りに住んでいた可能性があるそうです。ミャオ族の神話の中にも、漢族の神話との共通点がいくつかあるそうです。
私は1度だけ雲南省でミャオ族のお宅に泊めてもらったことがあります。中国国内だけではなく、ベトナム側にもたくさん親戚がいると言っていました。
モンゴル族
モンゴル国から見れば外側なのに、なぜか中国では内モンゴルと言います。
居住している地域が東西に非常に広いため(日本列島より3倍くらい広い面積)、やはり同じモンゴル族内で文化の差や言葉の差があります。モンゴル族同士で言葉が通じないことも結構あるそうです。
内モンゴル自治区の人口の約17%である421万人がモンゴル人で、内モンゴル自治区にはなんとモンゴル国のモンゴル人よりも多くのモンゴル人が住んでいます。(モンゴル国の人口は約300万人)
モンゴル国では社会主義時代に廃止されてしまったモンゴル文字ですが、内モンゴル自治区ではまだ使用していることが知られています。
主にチベット仏教を信仰しています。