中国の鉄道網
中国では現在、ものすごいスピードで鉄道を建設しています。
2018年の中国の鉄道の総延長は約13万キロ。アメリカの22万キロに次いで世界第2位の長さです。
そのうち、高速鉄道が約3万キロ(この一年間で5000キロ増えている、、、)で世界第1位となっています。
最近開通した比較的有名な路線としては、深圳北駅から香港西九龍駅までを結ぶ広深港高鉄、雲南省の昆明から大理までを結ぶ昆広大高鉄などがあります。
ちなみに日本の鉄道総延長は約2万7000キロ、うち新幹線は3000キロです。
中国の高速鉄道は現在も絶賛建設中です。
最長の国内列車
昔は一般的だった夜行列車も、最近の日本では一本、また一本と廃止に追い込まれてしまっています。
しかし列車の中で夜を明かすというのは非常に旅情をそそる体験ではないでしょうか。
幸いなことに、中国には夜をまたぐ列車がまだまだたくさん運行しています。
中には全行程で2日、3日かかる路線も。
2019年現在、中国国内で最も時間のかかる鉄道路線は、杭州ー阿克蘇間の列車で、始発から終点まで計68時間13分を要します。
杭州駅を午前 10:17 に出発したあと、小さな駅に細かく停車しながら、合肥に 16:07、徐州に 20: 51、洛陽に翌日 04:15、西安に 10:23、天水に 15:04、蘭州に 19:19 到着です。
出発した杭州の山々が日本と同じように青々と木々に覆われていたのに、西安から天水へ入るころには黄土高原の荒涼と乾燥した丘陵があたり一面に広がり、蘭州へ着くころにはここはもう砂漠への入り口。随分と遠くまで来てしまった感が旅人を打ちますが、しかしまだ全行程の半分。
その後張掖に翌日の 01:54、嘉峪関に 04:24、砂漠のオアシス哈密に 11:39、トゥルファンに 15:55、クアラ 20:39 からタクラマカン砂漠の北側を走り、さらに翌朝の 06:30 にようやく終点アクスに到着します。
3日間乗車しても運賃が447元と、日本円で1万円も超えない運賃というのは、さすが中国ですね。
ちなみに同じ区間を車を運転して行くとすると、総距離4541キロメートルで、53時間14分かかります。全行程が高速道路なので、高速代が1644元(日本円で3万円いかないくらい)かかります。
ウルムチ乗り継ぎの飛行機で行くと、約7時間かかります。
最長の国際列車
中国最長の国内列車は全行程で68時間かかりますが、他の国と陸続きで接している中国には、われわれ島国には存在しない国際列車というものがあります。
最長の国際列車は、北京発モスクワ行きの列車で、始発駅から終着駅まで127時間、5泊6日かかります。全行程は7692kmです。
1959年から運行している、歴史のある路線です。
毎週水曜日の午前 11:22 に発車、次の月曜日の 13:58 にモスクワに到着するそうです。
最長の貨物列車路線
北京発モスクワ行きの列車が中国最長の旅客路線ですが、貨物列車を見てみるとさらに長い路線があります。
それが浙江省の義烏発ロンドン Barking 行きの貨物列車で、2017年の1月に開通しました。
全行程約1万2000キロ。中国からカザフスタン、ロシア、ベラルーシ、ポーランド、ドイツ、ベルギー、フランスを経由してはるばるロンドンを目指します。合計で18日間かかるそうです。
中国からの貨物は、衣類や日用品などを運んできたそうです。中国の義烏といえば何と言っても日用雑貨のワールドトレードセンターですから。日本の100円ショップで売っているメイドインチャイナの品物のほとんどがここで作られて取引されているとか、全世界のクリスマスグッズの60%がここで生産されているなど言われています。
その3ヶ月後、逆にロンドンから出発した貨物には、ウイスキー、ソフトドリンク、ビタミン剤、ベビー用品などが満載されていたそうです。
これが最長路線かと思っていたら、まだまださらに長い路線がありました。
それが、義烏とマドリードを結ぶ貨物路線で、全行程約1万3000キロ!
これが現在世界最長の貨物路線でしょうか?
その他の貨物路線では、江蘇省の連雲港からオランダのロッテルダムを結ぶ路線や、重慶からドイツのデュースブルクを結ぶ路線も開通しています。
ちなみに日本最長の貨物路線は札幌〜福岡間の2100kmで43時間だそうです。
日本も一本の線でつなげると結構距離がありますね。
建設中の路線
現在建設中の路線で圧倒的にインパクトが強いのが、ラサと成都を結ぶ、「動車」規格で建設されている(運行速度時速160キロ)の川蔵鉄路です。
開通すれば総延長1838キロメートルのこの路線、何がそんなに凄いかというと、その標高差です。
平均標高300〜400メートルの四川盆地から、標高3650メートルのラサまで、14本の大渓谷と、21座の4000メートル超の雪山をぶち抜いて鉄道は建設されます。累計標高差はなんと約1万4000メートル。
地図で見るとわかりますが、四川省からチベットにかけたこのあたりは、ちょうどインド亜大陸に押されて盛り上がってできたヒマラヤ山脈がシワくちゃになった部分です。
当然のことながら中国国内有数の地震多発地帯となっています。2008年に甚大な被害をもたらした四川大地震も、成都から少し北へ山に入ったところが震源地でした。
いったい人類はこんなところに鉄道が通せるのか。
2030年が開通予定だそうです。
終わりに
現在、中国ではとんでもないスピードで高速鉄道が建設されています。
毎年開通する路線があまりに多いので、中国で生活していて新しい路線が開通したとしても、それがよほど重要な路線でない限りはニュースにもならないし、ある日列車のチケットを予約する時に、あれ?こんな行き先もあったっけかな、と気がつくという程度です。
しかし、毎年毎年確実に利便性が向上しています。
中国とは事情は違うにせよ、日本の北海道新幹線が計画から40年近く経ってようやく開通したこと、そして札幌〜函館間がいまだに建設中であることを考えると、たったの10年程度でここまでの高速鉄道網を完成させてしまうパワーというか、中央集権のマッチョな強さというか、比較してしまうと非常に考え深いものがありますね。