中国。すごくオープンなのに閉ざされているように見えてしまう国。
中国。閉ざされているようでいて実はかなり開けっぴろげな国。
広大な国土に無数の山岳と河川が入り乱れている中国ですから、私も初めて中国へ来たときにはこの広い大地をどのくらい旅行できるのかな、とドキドキワクワクしたものです。
そこで先人たちが現代中国でどんな冒険、探検をしてきたのか調べてみると、過去にはなかなかクレイジーな旅行をしてきた人たちがたくさんいることがわかりました。
例えば北朝鮮との国境からベトナム国境までの海岸線をカヤックで回った人、チベット高原の無人地帯を約1ヶ月かけて踏破した人、甘粛省の嘉峪関から河北省の山海関まで万里の長城を徒歩で走破したイギリス人など、ぐっとくるような旅行がたくさんあります。
その中でもぶっちぎりで頭がおかしいと思ったのが、1998年から2008年にかけて10年間にわたり中国を歩き続けた男、雷殿生です。
彼の書いた本を購入して読んで見たのですが、やることすることが何から何まで規格外。
北から南、東から西まで中国すべての省、自治区、直轄市、香港マカオ台湾を踏破し、その総距離は8万1000キロ超に及ぶといいます。
52足の靴を履きつぶし、雪崩や砂嵐や竜巻に巻き込まれながらも九死に一生を得て、ときには優しい人に出会い感動しながら、ときには人から冷たくされて涙を流し、砂漠を超えて密林を突き抜け、大都市をさまよった記録が書かれています。
個別のエピソードを挙げていったらキリがありません。
チベット高原でテントを張ったら深夜にオオカミの群れに囲まれて殺されそうになった話、湖南省の山奥で数メートルもあるニシキヘビに追いかけられて殺されそうになった話、黒竜江省で吹雪にあってー35度の気温の中凍死しかけた話。
ほんの十数年前の出来事だとはいえ、現在の中国からすれば信じられないような出来事もたくさん書かれています。
盗賊に襲われた回数は19回。そのたびに伸ばした髪を解いて振り乱し、長刀を取り出して絶叫することで盗賊を追い払ったそうです。
徒歩旅行に費やした時間が10年なら、旅行の前準備に費やした時間も10年。仕事をいくつか掛け持ちしながら旅行費は全部自分で準備したそうです。
中国の農村部が外から来た旅行者に対してどういった反応をするのか、中国でのアウトドアにはどんな危険が潜んでいるのかなど、中国で一歩踏み入った旅行をするのに欠かせない知識が詰め込まれた一冊です。
もし翻訳が必要だったら、私やります笑