こんにちは!
みなさんは、厦門って都市、聞いたことありますか?
日本から厦門に遊びにきた人に聞くと、厦門は街がよく整備されていて本当にきれいー、という声をよく耳にします。
確かに清掃はよく行き届いているし、ゴミもほとんど落ちていないし、街のいたるところにブーゲンビリアやハイビスカスなどの南国の花が植えられています。街路樹もヤシの木がたくさんあります。
もしかすると、厦門ではほかの場所とは少し違った中国が体験できるのかもしれません。
今回は、アモイに住んで3年目になる私が、厦門の歴史や見どころについていろいろと紹介していきたいと思います。
基本データ
場所
厦門市は中国東南部に位置しています。台湾のちょうど向かい側ですね。
緯度でいうと石垣島や西表島と同じくらい南になります。
もうちょっとくわしく
赤い線で囲まれているところが厦門市の範囲です。
厦門は大陸側と厦門島側に分けられます。メインの観光地は全部厦門島側にあります。
厦門島の大きさは、およそ山手線の内側の面積の二倍と同じくらい。大きいといえば大きいですし、小さいと言えば小さいですね。中国大陸側とは4本の橋と1本のトンネル、地下鉄と鉄道でつながっています。厦門空港は島の上にあります。
ちなみに右下に見える島は、台湾領の金門島です。
人口
廈門市の人口は411万人です。多いですね。
しかしそのうちの約半分が外から働きにきた人々なんだそうです。
気候
これだけ南なので、夏は長く、日差しは厳しいです。4月〜11月くらいまでは日中の気温が30度を超えます。でも常に海風が吹いているためか、35度を超えるような猛暑になることは、あまりありません。
冬は短いですが、意外としっかり冷えます。一番寒いときで7度くらいまで気温が下がります。
一年を通して、からっとすっきり晴れた天候が多いです。今年は9月から12月のあたままで、合計で100日間近く雨が降りませんでした。夏場は台風が年に1、2個やってきます。
地名
漢字で「厦門」、中国語のピンインでは「Xiamen」、英語でも「Xiamen」、
それでは、私たちが呼んでいる「アモイ」っていったいなんのことなのでしょうか?じつはこれは「厦門」という地名の現地語読みになります。
厦門の言語
厦門とその周辺の地域では、福建省の方言の中でも「閩南語」という言語が話されています。福建(=閩)の南で「閩南」です。
いちおう方言と呼んではいますが、ほかの地域の中国人は全く聞き取ることができないくらい、独特な言語です。
アモイを含めた福建省の南部は、広東省と並んで華僑の一大発信地なので、シンガポールやマレーシア、インドネシア北部、アメリカ東海岸などでも閩南語がよく使われています。
もちろん厦門は大都市ですので、中国語の「普通話」も普通に通じますよ。
閩南文化
厦門では、表通りはきれいに整備されたモダン都市ですが、一歩路地裏に入ると雑多でディープな閩南世界が広がります。
お茶
閩南人は本当にお茶を飲むのが大好きです。なんといっても福建省全体が巨大なお茶っ葉工場みたいなもんですから。厦門ではよく、お茶セットを道端に出してお茶を飲んでいる人々を見かけます。話しかけたら混ぜてくれますよ。お茶屋さんにお茶を買いに行ったときにも、よく「座っていって」と言われます。そしてお客さんをもてなすために、しっかりしたお茶を淹れてくれます。人のうちに遊びに行ってもお茶。自転車の修理待ちをしているときでもお茶。家賃を払いに行ってもお茶を淹れてくれるくらい、お茶が大好きです。
海鮮
閩南地域は海に近いため、漁業が盛んな地域となっています。ですので、厦門には海鮮をメインに取り扱ったお店がたくさんあります。夕暮れ時に厦門の海辺に行くと、無数の漁船が漁に出ているのを見ることができます。街中の市場では、新鮮な魚介類を豊富に売っています。日本で見たことのある魚、見たことのない魚、眺めているだけでもとても楽しいです。市場へ行かなくても、路地裏ではよく魚介類の歩き売りをしています。
廟が多い。
閩南地区の廟の多さは中国でもピカイチでしょう。路地裏に隠された廟の数の多いこと多いこと。
地元の人が莫大な金銭をつぎ込んで修復しているため、屋根の装飾とかやばいです。現在でも多くの人が線香をあげに廟に通っています。
もし運が良ければ、廟で行われるいろいろなイベントに立ち会うことができます。
歴史
アヘン戦争と厦門
1840年のアヘン戦争において厦門は激戦地のひとつとなりました。そしてアヘン戦争後、清国とイギリスの間に結ばれた南京条約によって、上海などほかの4港とともに外国へ開港されました。
近代になってから港町として発展し始めたという点では、厦門はどこか横浜や神戸の歴史ににているところがあります。
戦争の最前線
日中戦争の際には厦門も戦地になり、のち日本軍に占領されました。1938年からの7年間が占領期間だったそうです。
日中戦争が終わると、今度は国共内戦です。台湾に逃げた国民党軍と戦うため、厦門は最前線の軍事基地として機能しました。おとなりの台湾領金門島との間で、とんでもない数の大砲を撃ち合ったそうです。
また開港
毛沢東による文化大革命など、一連の鎖国的な期間が終了したのち、1978年に中国は改革開放経済へと路線変更をします。このとき、厦門は現在バリバリの深圳とともに、4つの経済特区の1つとして指定され、急速に経済発展をし始めました。
2018年の厦門港のコンテナ取扱量は世界第15位で、中国国内では第8位の港です。(ちなみに日本は東京港が世界27位、横浜港が世界58位)
観光スポット
中山路
全長1キロあまり続くショッピングストリートです。厦門観光の顔といっても差し支えないでしょう。全線が歩行者天国となっています。夜になると、ライトアップされた通りに人が溢れかえり、非常に賑やかになります。一番終わりまで歩くと、海に突き当たり、対岸には幻想的にライトアップされた、世界遺産の鼓浪屿(コロンス島)を眺めることができます。
海沿いのエリアには高級ホテルが集中しています。
第8市場
中国で出版されている厦門のガイドブックの中で、「厦門に友だちが遊びに来たら連れて行ってあげたい場所1位」として紹介されています。中山路の北側にある、生活感あふれる大規模な市場です。新鮮な地元の海鮮や、各種厦門の名物料理などが集結しています。もっとも厦門の庶民の生活感を実感できる場所かもしれません。
ここで買った食材を近くのお店へ持っていくと料理してもらうことができます。
沙坡尾(シャーポーウェイ)
厦門はもともとは漁港として発展していた街です。むかし厦門の漁港があった場所がここ、沙坡尾になります。古い時代のザ・厦門の魂はここにあります。現在では漁港としての機能はほぼありませんが、港のあった湾と、その周辺エリアがほどよく開発されています。おしゃれにデザインされたバーやカフェと、地元民の生活エリアが入り混じり、混沌とした独特な空間を形成しています。中山路ほど商業化されていないのがいいですね。
厦門に遊びに来た若者はほとんどの人がここを訪れます。
近くには民家を利用したこじんまりとした民宿がたくさんあります。こうした民宿はAirbnbなどで検索することができます。
鼓浪屿(コロンス島)
厦門の世界遺産コロンス島です。1キロ四方の島に、いろいろなスタイルの建築物が密集しているため、世界建築博物館などと呼ばれています。
コロンス島へわたるには、厦門島側から船でいくことになります。
どうして小さな島の上にこんなにいろいろな国の建築物が密集しているのかというと、それはこの島がむかしは外国の租界地だったからです。上海の有名な観光地、外滩(バンド)と同じですね。租界地とはつまり、外国人が無償で拝借していた土地のことです。アメリカ、イギリス、ドイツ、日本など、合計で13ヵ国がこの島の上に領事館を建てました。日本の領事館跡は現在でも残されています。
こうした西洋建築が現在でも住民に利用されているわけです。
小さな島ですが、約2万人の住民がいます。島には小学校も中学校もあります。エンジン付きの乗り物が走っていないため、とても静かな島です。住民から苦情がきたため、団体ツアーの拡声器も禁止されています。
厦門大学
中国国内では「中国一美しいキャンパス」として名高い大学です。厦門観光では必ずいくべき場所のひとつ、ということになっています。南国の植物がいたるところに植えられたキャンパスは確かに美しい。オレンジの瓦で統一された校舎も、創立当初から使用しているものがたくさんあります。教室からは海も見えます。司馬遼太郎も「街道をゆく」シリーズの『福建のみち』の取材では厦門大学を訪れようとしています。(一行のほかの人は行ったが、司馬遼太郎だけは最終日なので疲れてしまったらしい)
厦門大学は1921年に創立された古い大学です。
厦門出身の伝説的華僑である陳嘉庚という商人が、シンガポールで手に入れた莫大な資金を元にして自分の故郷に設立した大学です。当初は私立大学でした。魯迅もここで教鞭をとっていたことがあります。
大学ランキングでいうと全国20位くらいの大学になります。中国には日本の10倍くらいの大学があるので、単純計算すると日本2、3位くらいの大学に相当します。(?)
南普陀寺
唐の時代に建てられた、とっても古いお寺です。厦門大学のすぐ裏手にあります。浙江省にも普陀寺というこれまたでっかいお寺がありますね。西遊記にも出てくるやつです。
南普陀寺は無料で見学することができます。非常に大規模なお寺で、たくさんの人が線香をあげて仏像に拝む姿を見ることができます。
境内を15分ほど登っていくと、展望台につきます。天気が良ければ目の前に厦門大学と青い海を眺めることができます。
曾厝垵(ゼンツォアン)
島の南側にあるなんの変哲もない漁村ですが、ここ数年で急速に観光客を集めています。細く入り組んだ村の路地に、グルメ屋台や小さな民宿などが密集しているエリアです。
砂浜
嬉しいことに、厦門島には天然の白砂浜がたくさんあります。しかもしっかりと整備しているので、ゴミだらけで汚いということもありません。島の西側の砂浜からは夕日を、島の東側の砂浜からは金門島と朝日を眺めることができます。砂浜は綺麗ですが、水の色については言わないであげてください。九龍江という巨大な川の河口にあるので透明度はどうしても落ちてしまうのです。
以上で紹介したスポットを地図上にまとめるとこんな感じになります。
ほとんどのスポットが厦門島の南側に集中しているので、旅行するのには便利ですね。この辺りを散策して回れば2〜3日は遊べると思いますよ。
追加
猫街
厦門大学と沙坡尾の間にある雑多なエリアです。この一帯は学生街と若者向け観光地が入り混じったようなエリアになります。ネコをテーマにした場所なのですが、ネコのペイントがある以外は正直別にネコが特別多いわけでもありません。ネコよりも大切なのがグルメの多さです。わたしはよくここに四果汤や麻辣拌面を食べにきます。中国版バーベキューである「烧烤」のお店もたくさんあって、深夜遅くまで営業しています。
オプション
厦門から少し足を延ばすと、いろいろとほかの観光地へいくことができます。
台湾領の金門島まではフェリーで30分、世界遺産の土楼群は日帰りでいくことができます。閩南文化発祥の地である、おとなりの泉州市や漳州市なども厦門よりさらにディープなので超オススメです。
泉州についてはこちらの記事でくわしく紹介しています。
グルメ
沙茶面
厦門グルメといえばこの沙茶面がよく取りあげられます。とろーりと甘辛いピーナッツベースのスープに、くたくたのかん水麺を合わせた食べ物です。この料理のキモはその起源にあります。実はこの料理の起源はインドネシアにあるんですよ。「沙茶」を閩南語で読むと、「サーデ」的な発音になります。インドネシアの代表的な料理に「サテ」っていうのがありませんか?まさにあの料理が沙茶ソースの起源なんです。閩南地域は華僑の一大ふるさとですから、東南アジアに移民していった厦門人たちが「サテソース」を厦門に持ち帰ってきて、自分たちなりにアレンジしたのが「沙茶面」なんですねー。
海蛎煎
牡蠣と卵でとじて炒めた料理で、しっかりとご飯がススみます。これも厦門のあちこちで売っているのを見ることができます。前に厦門人のおばちゃんのお家でいただいたことがあるのですが、外で売ってるので美味しいものはなかなかないよ、って言っていました笑。子供のころはおやつ代わりに食べていたそうです。もしも味に変化をつけたい場合には、地元「海堤」ブランドの唐辛子ケチャップをかけて食べましょう。
土笋冻
海の貝をゼラチンで固めたゼリーです。「笋」(たけのこ)という漢字が使われているので、初めて厦門に来た人はよく混乱してしまいます。タケノコではなく、中身は貝です。この土笋冻もそこらじゅうの屋台で売られていますが、私が印象に残っているのは第8市場の近くで買った、歩き売りの土笋冻です。ゼリーに特製ソースをかけて、ネギやパクチー、ニンニクをまぶしたところに、わさびをちょっと添えたものを出してくれました。歩き売りなのにこんなにこだわるんだ、ということで印象に残っています
四果汤
閩南地区の庶民のスイーツです。かき氷とあんみつを合わせたような食べ物で、優しい素朴な甘さが特徴です。夏場に食べると最高ですね。猫街の近くに何軒か屋台が出ています。氷とところてん的なもの以外に、緑豆、スイカ、芋圆(ほぼタピオカ)、陳皮(みかんの皮)、あずき、パイナップル、白キクラゲなど、いろいろな具材を好みによって選ぶことができます。私は面倒臭いので毎回全部入れてもらっています。全部入れても値段は変わりません。氷のあるなしや、甘さの調節もできます。
瓦罐汤
これは厦門料理というよりも、福建省全体で比較的広く飲まれているスープです。福建料理の真髄を一番よく表しているかもしれません。人の背丈ほどもある巨大な陶器の「かめ」の中に、一人分のサイズの小さなこれまた土の器がたくさん並べられていて、いろいろな具材のスープをコトコト煮込んでいます。烏骨鶏や海藻、しいたけなど、素朴なあっさりとした味付けのスープは日本人の口にあうこと間違いなしです。厦門でご飯を食べると、結構な確率で瓦罐汤を取り扱っているお店に出会えます。
芋头包
タロイモで作ったスイーツです。厦門では結構よく見かけます。
麻辣拌面
中国全土を席巻しているB級グルメである「麻辣烫」の、厦門ローカライズバージョンです。中毒性が非常に高いので気をつけてください。すでに私は毎週一回はこれを食べないとやっていけない身体になってしまいました。
野菜や肉団子やインスタント麺など、いろいろと具材を選んだら、揚げるべきものは揚げ、ゆでるべきものはゆで、最後は各種スパイスとピーナッツソースを混ぜたジャンキーなタレにからめて、混ぜながら食べる麻辣烫です。麻辣烫に本来あるべきのスープがないのが特徴です。
ダメですね。書いてたらお腹が減ってきました。この文章を書き終わったら食べに行ってきます。
酸笋面
酸っぱく発酵させたタケノコほか、いろいろな具材を選べる麺です。厦門の名物料理の中ではかなり地味な部類に入るかもしれません。味のインパクトに欠けるからです。しかし店舗数でいうとほかのグルメに引けをとりません。とくに第8市場の近くにある「思北」というオールド厦門エリアでは、大量の酸笋面屋さんを見かけることができます。しかも営業時間が朝の5時までという屋台もたくさんあります。多くの屋台が道端にテーブルを出して麺をすするタイプです。一晩飲み明かしたあとに食べるあっさりスープの麺とタケノコの爽やかな酸味が飲みすぎたアルコールに効くんだとか。
各種フルーツ
亜熱帯気候の厦門ですから、日本よりもはるかに果物の種類が多いです。地元で生産しているフルーツに加えて、台湾産のフルーツもそこらじゅうで売られています。台湾との貿易が盛んな場所ですからね。
おすすめはマンゴーですかね。日本と違ってすごく安いです。マンゴーでお腹いっぱいになるって、素敵な体験だと思いませんか?それから個人的にキングオブフルーツだと思っている释迦果もおすすめ。あとドリアンも美味しいです(でもタイ人いわくタイのドリアンには全然かなわないらしい)。
中国で食べられるそのほかの珍しいフルーツについては、こちらの記事でくわしく紹介しています。
いかがでしたでしょうか。
一度くらいは行ってみてもいいかな?ってなりませんか?